父から相続した「4000万円」から葬儀関連費用「500万円」を支払いました。葬儀費用は控除されるので、相続税はかからないでしょうか?
今回は、相続財産から控除できる葬儀費用や控除項目があるときの相続税の計算方法などについてご紹介します。
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相続財産から控除できる葬儀費用とは
国税庁によると、葬儀費用として控除できる項目は以下の通りです。
・葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
・遺体や遺骨の回送にかかった費用
・葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
・葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
・死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
もし500万円すべてが上記に該当する項目に使われたのであれば、相続税の計算時に控除できます。しかし、香典返しや初七日、法事のためにかかった費用などは遺産総額から差し引く葬儀費用の対象外となります。
例えば、葬儀に関する費用の総額が500万円で、そのうち200万円が香典返しや法事などのためにかかった費用であった場合、相続税の計算時に控除できるのは300万円です。
なお、墓所や仏壇、祭具などは、非課税財産として税金の計算に含まれません。
控除項目があるときの相続税の計算方法
相続税は、基本的に以下の手順で計算します。
(1)相続した財産の総額から非課税財産や葬儀費用、債務などを控除する
(2)(1)の金額から基礎控除を差し引く
(3)(2)の金額を法定相続分通りに相続したとして、各法定相続人が相続した場合の相続税額を求める
(4)(3)の税額を合計し、実際に相続した割合で分ける
(5)それぞれの税額に、控除や加算が適用される人は適用する
例えば、亡くなった人の配偶者であれば配偶者控除が適用されるため、最後の計算時に法定相続分相当額か1億6000万円までを税額から控除できます。
なお、相続した人物が1人で法定相続人だった場合、税額を分ける必要がないため、手順が(3)までで計算が完了します。
葬儀費用の控除額で相続税はいくらくらい変わる?
今回は、以下の条件で控除費用が変わると税額がいくら変動するかを比較しましょう。
・相続財産は4000万円
・葬儀費用500万円すべてが控除された場合と、200万円が香典返しや法事などのためにかかった費用だったとして300万円が控除された場合で比較
・非課税財産や債務はなし
・財産を相続したのは子ども1人のみ
相続税は「3000万円+600万円×法定相続人数」が基礎控除です。今回は法定相続人が1人のため、3600万円になります。
まず、葬儀費用500万円がすべて控除できるとすると、課税対象になるのは3500万円です。基礎控除額よりも少なくなるため、相続税はかかりません。
一方、300万円のみが控除される場合、課税対象になるのは3700万円です。基礎控除を差し引いた100万円に対して相続税が課されます。税率は10%なので、10万円の相続税が課されるでしょう。
香典返しや法事のためにかかった費用などは控除されない
葬儀費用は相続税の計算において控除できますが、香典返し費用や法事のためにかかった費用などは控除される葬儀費用の対象外です。
今回の例では、葬儀費用500万円がすべて控除対象であれば相続税はかかりません。しかし、仮に200万円分が香典返しなどの費用であった場合、控除できる金額が300万円となり、相続税が発生します。
なお、墓所や仏壇、祭具などは、非課税財産として税金の計算には含まれません。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー