10年介護した“認知症の父”を看取り後、兄弟から「親父の金を使い込んだ」と責められショック! 生活費として「月10万円」引き出してたのですが、1200万円も“返す義務”はないですよね?

配信日: 2026.03.03
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10年介護した“認知症の父”を看取り後、兄弟から「親父の金を使い込んだ」と責められショック! 生活費として「月10万円」引き出してたのですが、1200万円も“返す義務”はないですよね?
父親を看取って疲弊しているなか、兄弟から「親の口座から引き出していた1200万円を返せ」と迫られたら、気持ちが追いつかないのも無理はありません。しかし、親の通帳を預かって生活費を管理していた場合、法的な備えが不十分だと、介護のための支出であったとしても「使い込み」と疑われるリスクが生じます。
 
本記事では、相続に関する法的リスクを解説し、自分の身を守るために必要な準備について紹介します。
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生活費10万円でも10年なら大金に……不当利得と疑われるリスク

父親の銀行口座から毎月10万円を父親の生活費として引き出していた行為自体は、介護の実情から見れば決して過大とは言えません。ただし、問題となるのは、その合計額です。年間で120万円、10年間では1200万円に達します。
 
特に介護の現場を見ていなかった兄弟からすれば、「そこまで必要だったのか」「自分のために使ったのではないか」といった疑念を抱く可能性があるでしょう。その結果、「不当利得返還請求」に発展する事例もあるのです。
 
特に認知症などで親自身の判断能力が低下していた期間の出金は、厳しく精査される傾向にあります。
 

介護や生活費に使ったことを証明する領収書の壁

裁判や遺産分割協議の場では、「引き出したお金は父のために使った」という口頭の説明だけでは不十分です。法的には、資金を管理していた側が使途を証明する責任を負います。例えば、施設費や医療費、オムツ代、食費などの領収書があれば、支出の正当性を裏付ける有力な証拠になるでしょう。
 
一方で、領収書がなく使途不明の出金が多いと判断された場合、「使い込み」と評価される可能性があります。その結果、相続分から控除されたり、返還を命じられたりすることも考えられます。
 
そのため、家計簿や通帳の記録、残っているレシートなどを整理・保管し、支出内容を説明できる状態に整えておくことが重要です。
 

公私混同を防ぐ「管理専用口座」の重要性

もう1点注意すべきなのは、自分のお金と親のお金が混在してしまう問題です。例えば、親の日用品を立て替え払いし、後日まとめて口座から引き出すといった方法をとっていると、通帳上は使途不明のまとまった現金出金に見えてしまいます。
 
親の資金管理専用の口座を設けたり、支出専用の財布を用意したりするなど、自身の家計と明確に分離して資金の流れを可視化しましょう。こうした仕組みをあらかじめ整えておくことが、トラブル防止の有効な対策になります。
 

「家族信託」と「成年後見制度」でトラブルを防ぐ

資産管理を巡る争いを防ぐ制度として、「家族信託」や「成年後見制度」があります。これらの制度を利用すると、裁判所や監督人への報告義務が生じるため、資金管理の透明性が確保されます。特に家族信託は、親が元気なうちに管理権限を明確に定められる点が特徴です。
 
こういった制度を利用せず個人で管理していた場合は、弁護士や司法書士など第三者の専門家に関与してもらい、支出の妥当性を客観的に整理することが望ましいでしょう。
 

介護の苦労を相続に反映させることはできる?

10年間にわたり1人で介護を担ってきたのであれば、「寄与分」として相続割合の増加を主張できる可能性があります。ただし、日本では親の介護は「扶養義務の範囲」と評価されることが多く、金銭的に大きく認められるケースは限定的です。
 
兄弟からの1200万円の返還請求に対抗するには、単に拒否するのではなく、介護に要した労力を具体的に数値化する方法も考えられます。例えば、同等の介護サービスを利用した場合の費用を算定し、それを寄与分として主張するという方法です。
 
兄弟間での感情的な対立が深刻化する前に、法的根拠に基づいた準備を進めることが重要です。
 

看取りの後に争いを減らすため、親が元気なうちに備えておく

親の預貯金を管理する場合、毎月の金額が小さくても、長期間にわたれば大きな金額になります。その積み重ねが後に相続人間で法的紛争へ発展するケースもあるため、事前に準備しておくことが重要です。
 
親の口座から生活費として必要な経費を引き出していただけであっても、看取りのあとに兄弟から返還を求められた場合には、まず支出記録を整理し、使用用途を明確にする必要があります。そのうえで専門家の助言を受け、冷静に対応する姿勢が求められます。
 
介護の献身を正当に評価してもらうためにも、出金の記録などの証拠を整え、毅然(きぜん)と対応することが重要です。
 

出典

e-Gov 法令検索 民法(703条)
一般社団法人 家族信託普及協会 家族信託とは?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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