兄名義の実家が危険空き家に。相続放棄もせずに兄が放置していますが、何かトラブルが起こった際は弟の私にも責任は及びますか?
結論から言うと、兄が単独名義なら弟がいきなり責任を負うケースは多くありません。ただし、状況によっては例外もあります。本記事ではポイントを整理して、弟として取れる現実的な動き方を説明します。
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目次
兄名義なら、原則トラブルの責任は弟に直接は及ばない
家の名義(所有者)が兄で、弟が共有者でも管理者でもない場合、倒壊や落下物などの事故が起きたときに、弟が賠償責任を負うとは考えにくいです。こうした事故では、まず「その建物を実際に管理している人(占有者)」、それでも免れれば「所有者」が責任を負う、という枠組みで判断されやすいからです(民法717条)。
つまり、放置している兄が所有者であるかぎり、原則として責任は兄が負うと考えてよいでしょう。
ただし例外あり:弟が責任を負い得る3つのパターン
一方で、弟に責任が及ぶ可能性がある典型は次の3つです。
1つ目は、弟も所有者(共有名義)になっている場合です。例えば、「相続後に遺産分割が終わっておらず共有状態だった」「登記を見たら兄弟共有だった」というケースです。名義は誰のものかがはっきり分かる大事な情報なので、まず「登記事項証明書(登記簿)」で確認しておくことが大切です。
2つ目は、弟が「占有者(実質の管理者)」と見られる場合です。例えば、弟が鍵を預かって頻繁に出入りし、修繕の手配や草刈りなどを継続していて、実態として弟が管理しているといえる状況の場合は、事故時に「占有者」と評価される可能性があります。
善意で手を入れたつもりでも、関与の度合いによっては立場が変わるので、関わり方には線引きが必要です。
3つ目は、兄が亡くなった後に、弟が相続人になる場合です。
相続では、相続放棄をしないかぎりプラスの財産だけでなく、管理費用や損害賠償の支払い義務のようなマイナスの財産も引き継ぎます。相続放棄は家庭裁判所で行いますが、手続きは原則「相続開始を知ってから3ヶ月以内」とされています。
兄に配偶者や子がいないなどの場合は、弟が相続人になる可能性もあるため、「今は兄の問題」でも将来は自分の問題になり得ます。相続できる人やその順番は、法律によって定められています。
危険空き家になると何が起きる?
空き家が周囲に危険や衛生面の悪影響を与える状態の場合は、法律に基づき自治体が関与します。制度上は「特定空家等」や、放置したままとそうなり得る「管理不全空家等」といった枠組みで、助言・指導、勧告、命令と段階的に進むのが一般的です。
ここで大きなポイントになるのが、費用や税金です。例えば特定空家等で勧告を受けると、固定資産税の「住宅用地特例」から外れて税負担が増えることがあります。さらに、命令に従わない場合は、自治体が解体もしくは修繕工事を行い、その費用を所有者側に求める(いわゆる代執行)方向に進み得ます。
弟が名義人でない場合は、自治体が費用を“弟に請求する”のは通常は考えにくいですが、連絡や相談の窓口として親族に声がかかることはあり得るため、注意が必要です。
まずは家の名義を確認し、動かない兄への対応を考えよう
空き家で事故が起きたときの賠償や、解体・修繕などの対応を誰が負うかは、「所有者は誰か」「実際に管理しているのは誰か」で決まりやすいです。
まずは登記で名義を確認し、固定資産税の納税通知などでも実態を押さえましょう。そのうえで兄に対しては、口頭だけでなく、修繕や解体・売却などの方針についての回答を“期限つき”で求める形にすると動きやすくなります。
それでも兄が放置を続けるなら、事故が起きる前に自治体の空き家担当に相談して、「何が危険視されているのか」「所有者にどんな通知が行っているか」を確認しましょう。弟が全てを背負う必要はありませんが、将来、兄にもしものことがあったとき、相続の問題として自分に降りてくる可能性はあります。
相続放棄には期限があるため、最悪のケースも想定して、早めに弁護士や司法書士へ相談しておくと安心です。
出典
デジタル庁 e-Gov 法令検索 民法 (土地の工作物等の占有者及び所有者の責任) 第七百十七条
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!
国土交通省 「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー