祖父が亡くなり、美術品・骨董品などを売ったら全部で30万円になりました。これも遺産として相続税の対象になりますか?

配信日: 2026.03.11
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祖父が亡くなり、美術品・骨董品などを売ったら全部で30万円になりました。これも遺産として相続税の対象になりますか?
亡くなった祖父の遺品を整理・売却したところ、全部で30万円になったというAさん。「相続税の対象になるのでは?」と心配だそうです。本記事で、FPである筆者が詳しく解説します。
篠原まなみ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

法定相続人

まず、Aさんが相続税を納める対象になるかどうかですが、Aさんが祖父の法定相続人である場合、あるいは祖父の遺言により美術品・骨董品を取得したときは、遺贈として相続税の対象となります。
 
法定相続人とは、民法で「この人たちが相続する権利を持つ」と定められている人のことで、遺言書がない場合は、原則として法定相続人が財産を相続します。
 
法定相続人の優先順位ですが、常に相続人になるのは、法律上の婚姻関係にある配偶者で、第1順位は、子どもです。子どもがすでに亡くなっている場合は、孫が代襲相続人になります(※1)。
 
仮に祖父の子どもがAさんの父とすると、祖父が亡くなったときにすでに父が亡くなっていれば、Aさんが法定相続人になります。
 

相続財産

相続財産には、現金や預貯金、株、投信、債券などの金融商品、不動産のほかに金銭的価値のある動産も含まれます(※2)。動産の例とて、車や家具、宝石などの貴金属、絵画や彫刻などの美術品、掛け軸、つぼなどがあります。
 
Aさんの場合、美術品・骨董品を売却して30万円になったということですので、これらは遺産としての相続財産に含める必要があります。ここで注意が必要なのは、30万円の相続税財産の評価です。
 
専門業者に買い取ってもらった場合などは、その買い取り価格を評価額としても問題になることは少ないと思われますが、知り合いに買い取ってもらった場合などでその金額が極端に安い場合は、申告後、税務署から適正な時価で評価していないと指摘を受ける可能性があります。
 
それでは、30万円が適正な評価だった場合、すぐに相続税の対象になるのでしょうか。相続税は、遺産の総額が基礎控除を超えた場合に課税されます。
 

相続税の計算

遺産にかかる基礎控除は、「3000万円+600万円×法定相続人」の数になります。例えば。法定相続人が3人いる場合は、「3000万円+600万円×3人」で4800万円となります。
 
Aさんのケースで考えてみると、祖父の相続財産が4800万円を超えなければ相続税はかからず、申告をする必要もありません。Aさんが代襲相続をしていた場合には、法定相続人としてカウントされますが、単に美術品・骨董品を遺言により譲り受けていた場合は、法定相続人の数には入りません。
 
例えば、遺贈を受けた孫Aさんのほかに法定相続人が3人いる場合で、美術品・骨董品の30万円を含めた相続財産の総額が4000万円の場合は、基礎控除の4800万円を超えていないので相続税はかかりません。
 
相続税がゼロになる恩恵は、法定相続人でないAさんにも及びます。一方、相続税がかかった場合は、法定相続人でないAさんには、相続税の2割加算が適用されます。なお、相続税の計算は以下のとおりです(※2)。


1. 相続財産総額を出す
2. 課税遺産を出す(相続財産総額-基礎控除-債務控除・非課税財産など)
3. 2を法定相続割合で案分
4. それぞれの相続税額を国税庁ホームページの相続税の早見表で計算
5. 相続税の総額を出す
6. 実際の相続割合で案分

 

まとめ

Aさんが受け取った金額が全部で30万円以内であれば、基礎控除内に収まり、原則として相続税はかからないでしょう。
 
ところで、Aさんが売却した美術品や骨董品が、相続によるものではなく、法定相続人である父から譲り受けものだったらどうでしょうか。その場合は、相続税ではなく、贈与税の問題になります。
 
ただ贈与税にも基礎控除があり、年間110万円までは非課税になります。そのため、ほかに贈与されたものがなければ贈与税はかからない可能性が高いです。相続税にせよ贈与税にせよ実際に税金がかかるかどうかは管轄の税務署に確認するか税理士に相談をしましょう。
 

出典

(※1)国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
(※2)内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 相続税はいくらから? 基礎控除とは? 相続税の基本を確認!
 
執筆者 : 篠原まなみ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

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