実家の相続を拒否していた夫。相続放棄をしても、固定資産税の納税通知が届くことはある?

配信日: 2026.03.12
この記事は約 4 分で読めます。
実家の相続を拒否していた夫。相続放棄をしても、固定資産税の納税通知が届くことはある?
相続をするつもりがない場合、相続放棄をすることで一切の権利や義務の承継を放棄できます。しかし、相続放棄の状況によっては、固定資産税などの納税通知が届く場合があるため、注意が必要です。
 
今回は、相続放棄をしていても固定資産税を支払わなければならないのか、納税通知が届いた場合の対処法などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

相続放棄後でも固定資産税の支払いは必要?

基本的に、相続放棄をしたなら固定資産税は支払う必要がありません。裁判所によると、相続放棄とは「相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない」状態です。そのため、相続する予定だった土地や家屋に課される固定資産税の支払い義務も、受け継がないことになります。
 
ただし、相続放棄のタイミングによっては、固定資産税の納税通知が届くケースもあります。東京都主税局によると、固定資産税は、1月1日時点で土地や家屋など対象となる固定資産を所有している人に対して課されるためです。
 
例えば、12月23日に亡くなった本人の息子が裁判所へ相続放棄の申し立てを行い、翌年1月23日に申請が受理された場合、1月1日時点の記録では相続放棄が反映されていない場合があります。そのため、財産の所有者として固定資産税の納税通知が送付されるでしょう。
 

納税通知が届いたときの対処法

相続放棄したからといって、固定資産税の納税通知は無視しないようにしましょう。固定資産税は、1月1日時点でその土地や家屋の所有者が納税義務者となるためです。
 
届いた通知を無視し続けると、税金の滞納として元々の固定資産税に延滞税や加算税が課される可能性があります。納税通知が届いた時点で、一度自分で支払っておくと、納税忘れによる滞納を防げるでしょう。
 
兄弟姉妹がいるなど相続人が複数人いる場合は、固定資産税として負担したお金をあとから本来相続する人に求償できる可能性がありますが、相続関係や支払い状況により異なるため、事前に自治体や専門家などへ確認することをおすすめします。
 
ほかにも、納税通知が届いてから3ヶ月以内に、自治体へ課税が間違っているとして不服申し立てすることも方法のひとつです。相続放棄が認められており、課税される根拠がないと判断されれば、課税が取り消される可能性があります。
 

相続放棄ができていれば相続税の支払いも必要なくなる

相続放棄をした場合、相続税の負担も発生しません。ただし、相続放棄を申請していても、単純承認をしたものとみなされる行為をすると、相続を承認したとして取り消される可能性があります。
 
民法第921条によると、単純承認をしたとみなされる行為は以下の通りです。
 

・相続財産を勝手に処分した
・3ヶ月以内に限定承認や相続放棄をしなかった
・相続放棄や限定承認のあとに、相続財産の一部または全部を隠して私的に使ったりわざと相続財産の目録に記載しなかったりした

 
例えば、相続放棄の申請をしたあとに実家を処分したり、亡くなった父親の財産を売ったりすると、単純承認したと判断される可能性があります。この場合、相続財産の金額によっては相続税の納付も必要です。
 
相続税は基礎控除が「3000万円+600万円×法定相続人数」と、法定相続人数によって金額が変動します。父親が亡くなった際、仮に姉と弟、自分の3人で相続した場合の基礎控除額は4800万円です。
 
相続した家の評価額が3000万円、ほかに2100万円の相続があったとすると、基礎控除を差し引いた300万円にかかる相続税を3人で負担します。法定相続分通りに相続したとすると、1人当たりの相続税額は10万円です。
 

相続放棄のタイミングによっては納税が求められる可能性がある

相続放棄ができていれば、すべての権利や義務を相続しなくてよくなるため、固定資産税の納付も必要ありません。ただし、相続放棄の申請から受理まで1月1日をまたいだ場合などは、相続放棄をしていても納税通知が届くことがあります。
 
納税通知が届いた際は、税金の滞納を防ぐためにまず支払ってから本来の相続人に求償するか、自治体に対して課税の不服申し立てをするとよいでしょう。
 
なお、相続放棄の手続きを完了していても、単純承認とみなされる行為をすると無効になる可能性があるため、注意しましょう。
 

出典

裁判所 相続の承認又は放棄の期間の伸長
東京都主税局 固定資産税(償却資産)
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第五編 相続 第四章 相続の承認及び放棄 第二節 相続の承認 第一款 単純承認 第九百二十一条(法定単純承認)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 yumobile
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問