夫婦で「3000万円」の住宅ローンを返済! でも“夫の名義”で組んだせいで、妻から夫への「贈与税が課される」なんて…共働きで返済する際の注意点とは?
ところがこの名義と返済の関係で、「妻から夫への贈与にあたる可能性がある」と言われたら、共働きで一緒にローンを返しているだけなのに、なぜ贈与税がかかるのかと戸惑う人も多いでしょう。本記事では夫婦間の贈与と、住宅購入時の資産の取り扱いについて解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
目次
持ち分と負担割合がズレると問題になることも
国税庁の規定では、住宅購入時の「資金負担割合」と「登記上の持ち分割合」が異なる場合、贈与税の対象になることがあるとされています。「登記上の持ち分」とは、分かりやすく言うと「その家を何割所有しているか」という法的な割合です。
例えば3000万円の住宅を購入し、夫が2000万円、妻が1000万円を負担したとします。
この負担割合をもとにすると、それぞれの住宅に対する持ち分は、夫3分の2、妻3分の1となります。しかし、登記を100%夫にした場合、妻が出した1000万円分は、夫の財産を増やしたと考えられる可能性があります。つまり、税法上は「妻から夫への贈与」とみなされることがあるのです。
ローン返済でも贈与税が発生する?
「頭金は出していないけれど、毎月半分ずつ住宅ローンを負担している」というケースもあります。
例えば、4000万円を35年ローン、金利1.5%で借り、毎月の返済が約12万円だとします。妻が毎月半分の6万円を負担している場合、妻が年間に住宅ローンとして負担した額は72万円になります。もし住宅の登記が夫単独名義なら、この72万円は「夫のローンを肩代わりした」と判断される可能性があるのです。
ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除があります。そのため贈与した財産のすべてが課税対象というわけでなく、110万円を超えた部分に税金がかかります。毎年72万円であれば控除内ですが、もし毎月の妻の負担額が10万円の場合、年間で120万円になるので、110万円を超えた額の10万円に対して贈与税が発生するのです。
具体的な税額の目安
仮に、妻が年間120万円を住宅ローンとして負担していたとします。この場合、基礎控除の110万円を差し引くと、課税対象は10万円です。
贈与税率は200万円以下の場合10%なので、支払う税額は1万円になります。もし20年のローンだった場合、トータルで20万円の納税額になるのです。税の負担額は、1年では大きく感じなくても、長年続けば大きな負担と感じる人もいるでしょう。
共働きで住宅ローンを返済するときのポイント
住宅ローンにおける夫婦間贈与の課税対象にならないようにするためには、どうしたらいいのでしょうか。
資金負担割合に応じた持ち分で登記する
国税庁の規定では、住宅の負担割合と持ち分が一致しない場合、差額は贈与とみなされる可能性があります。つまり、「出したお金の割合=持ち分」として、資金の負担割合に応じた持ち分で登記するといいでしょう。
夫婦でペアローンにする
ローンを組む際に、ペアローンを選択する方法もあります。ペアローンとは、夫婦がそれぞれ住宅ローン契約を結び、自分の借入分を返済する仕組みです。それぞれが自分のローンを返すため、相手への贈与とはみなされにくくなります。また、住宅ローン控除も夫婦それぞれが受けられる可能性があり、税負担の軽減につながる場合もあります。
配偶者控除を利用する
婚姻期間が20年以上の夫婦には、「贈与税の配偶者控除」という特例もあります。これは、居住用不動産の贈与が2000万円までであれば非課税になるという制度です。すでに単独名義の場合でも、この特例を活用すれば贈与税の負担を抑えられる可能性があります。ただし、適用には条件があるため、事前確認するようにしましょう。
ローンを組む際には家庭の返済方法に合わせて検討を
共働きで協力して住宅ローンを返済していても、税法上は夫婦それぞれが別の納税者として扱われます。そのため、ローンの実質的な負担割合と名義が一致していないと、贈与と判断される可能性があります。
マイホームは大きな買い物です。住宅ローンを組む際や返済方法を見直すタイミングで、夫婦の返済割合や名義についてしっかり検討してみることが大切といえるでしょう。
出典
国税庁 No.4411 共働きの夫婦が住宅を買ったとき
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
