50代・おひとりさま、きょうだいもいません。実家を相続してひとり暮らしをしていますが、私の死後、この家はどうなってしまうのでしょうか?

配信日: 2026.04.03
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50代・おひとりさま、きょうだいもいません。実家を相続してひとり暮らしをしていますが、私の死後、この家はどうなってしまうのでしょうか?
おひとりさまが亡くなると、その方の資産はどうなってしまうのでしょうか? おひとりさまの相続対策を含め、FPである筆者が分かりやすく解説します。
稲場晃美

お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士

きょうだいもいない場合、家はどうなるのか

結論からお伝えすると、何も準備しないまま亡くなった場合、あなたの家を含む財産は最終的に国庫に帰属します。
 
民法には、遺言がない場合の「法定相続」のルールがあります。相続人の順位は、第1順位が子ども、第2順位が親・祖父母、第3順位がきょうだい(きょうだいが亡くなっていれば、おい・めいまで)で、いとこは対象外です。今回のケースのような子どももきょうだいもおらず、親もすでに亡くなっていれば、相続人不存在となります。
 
家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、手続きを経てもなお引き受け手がなければ、財産は国のものになります。2023年度に国庫へ帰属した財産は1292億円にのぼり、10年前の約3倍に急増しています(財務省・国有財産総合情報管理システムより集計、財政制度等審議会国有財産分科会資料2025年6月公表)。
 

「家族がいるから大丈夫」は、思い込みかもしれない

「これは特殊なケースの話」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。子どものいない夫婦も、配偶者を先に亡くした方も、配偶者が亡くなった瞬間に同じ問題に直面します。きょうだいがいても、長年疎遠だった、絶縁状態にあるという方も同じです。
 
法律上は相続人であっても、いざというとき頼れない、連絡もとれないのであれば、準備という意味では相続人不存在と大差ありません。「いる」と「頼れる」は、まったく別の話です。
 
「家族がいるから安心」というわけではありません。突き詰めれば、誰もが最後はひとりです。
 
おひとりさま世帯は2050年に全世帯の44.3%に達すると推計されており(国立社会保障・人口問題研究所)、これはすでに社会全体のテーマです。だからこそ、生前に自分の親族関係を一度洗い出し、本当に頼れる人が誰なのかを確認しておくことが対策の出発点です。
 

財産より先に「誰が動いてくれるのか」を決める

相続の準備として遺言を思い浮かべる方は多いですが、実はその前に考えるべき問題があります。亡くなった後、誰が動いてくれるのかという問題です。
 
死亡届を提出できるのは、法律で定められた親族などに限られ、仲のよい友人には頼めません。病院への対応・葬儀・行政手続き・家の片付けまで、誰が担うのかを決めておく必要があります。
 
そしてもう一つ、見落としがちな問題があります。ネット銀行・ネット証券・仮想通貨など、パスワードや口座情報を誰も知らないまま眠っているデジタル資産です。あなたのスマホの中に、誰にも引き継がれない財産が眠っていませんか。
 
遺言があっても、動いてくれる人がいなければ何も機能しないのです。これを解決するのが「任意後見契約」や「死後事務委任契約」です。信頼できる人や専門家と契約することで、法的に「動いてくれる人」を作っておくことができます。まずここから、専門家に相談することをお勧めします。
 

「いつか考えよう」が一番危ない

動いてくれる人が決まったら、次は遺言です。まず、「自筆証書遺言」を書いて法務局に保管しておくことを検討してみてください。自筆証書遺言書保管制度の利用は、累計10万件を突破しています(法務省)。
 
ただし、「書いたから安心」は禁物です。あくまでつなぎと認識したうえで、より確実性の高い公正証書遺言についても、専門家や公証役場に相談してみることをお勧めします。今、公証役場は数ヶ月待ちの状況が続いています。だからこそ、まず自筆証書遺言で保険をかけながら、並行して公証役場に予約を入れる。この2段構えが現実的です。
 
そして大切なのは、遺言は一度作って終わりではないということです。家族の状況が変わったり、気持ちが変わったりしたら、その都度見直すもので、これは保険と同じです。「家族がずっと笑顔で関係性を保ち続けられるように、今の自分の意思を残しておくこと」それができるのは、判断能力がある今だけです。
 
まず一歩、踏み出してみませんか?
 

出典

国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-令和6(2024)年推計-」を公表します
最高裁判所 相続財産清算人の選任
法務省 自筆証書遺言書保管制度
法務省民事局 遺言書保管制度の利用状況
 
執筆者 : 稲場晃美
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士

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