親が亡くなりました。冷蔵庫やテレビなどの大型家電をもらうと相続税はかかるのでしょうか?

配信日: 2026.04.03
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親が亡くなりました。冷蔵庫やテレビなどの大型家電をもらうと相続税はかかるのでしょうか?
親が亡くなったあと、冷蔵庫やテレビなどの家電を「形見として受け取っても相続税がかかるのではないか」と心配する人は少なくありません。確かに、亡くなった人の財産は原則として相続税の対象です。
 
しかし、家電や家具などの家庭用財産については評価方法があり、多くの場合は相続税の負担に大きく影響しないケースがほとんどです。
 
そこで本記事では、家電などを相続した場合の税金の考え方を解説します。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

相続税は「亡くなった人の財産」が対象

相続税は、亡くなった人(被相続人)が所有していた財産を相続した場合に課税される税金です。対象となる財産には、現金や預貯金、不動産、株式などだけでなく、家具や家電などの動産(動く財産)も含まれますので、法律上は冷蔵庫やテレビなどの家電も「相続財産」に含まれます。
 
ただし、ここで重要なのは「相続税は財産の評価額に基づいて課税される」という点です。購入時の価格ではなく、「相続時点の市場価値(時価)」で評価されます。そのうえ、相続税には基礎控除があり、一定額まではそもそも課税されません。
 
基礎控除の計算式は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。例えば、相続人が子ども2人なら、「3000万円+600万円×2=4200万円」までの遺産総額であれば、相続税はかかりません。したがって、家電のような比較的安価な財産は、実務上、税額に影響しないケースが多いといえます。
 

冷蔵庫やテレビなどの家電の評価方法

家具や家電などの家庭用財産は、相続税の計算では「一般動産」として扱われます。評価は基本的に時価で行います。
 
例えば、数年前に購入したテレビや10年近く使っている冷蔵庫などは、購入時の価格ではなく、現在の中古価値で評価されます。多くの家電は年数がたつと価値が大きく下がるため、実際の評価額はかなり低くなることが一般的です。
 
また、国税庁の評価通達では、家庭用財産については、1個または1組の価額が5万円以下のものは原則として評価しないという取り扱いが示されています。一般的な家庭で使っているテレビや冷蔵庫などは、相続時点では中古価値が低いことも多く、実務上は課税対象として問題になるケースは多くありません。
 

家電をもらっただけで相続税がかかるケースはまれ

以上のことから、冷蔵庫やテレビなどの大型家電をもらっただけで相続税が発生するケースは、以下の3つの理由からほとんどないと考えていいでしょう。
 

(1)家電の中古価値は低い
(2)家庭用財産は5万円以下なら評価しない場合がある
(3)そもそも相続税には大きな基礎控除がある

 
例えば、「預貯金2000万円、家具家電100万円、相続人2人」といったケースでは、遺産総額は2100万円です。基礎控除が4200万円あるため、相続税は発生しません。つまり、家電を受け取ること自体よりも、不動産や多額の預金、株式などの有価証券といった財産のほうが、相続税の計算では重要になります。
 
「家電をもらったら税金がかかるのでは」と過度に心配する必要はないでしょう。
 

高額な美術品や骨董品は要注意

だからといって、すべての動産が問題にならないわけではありません。例えば高級家具、効果なオーディオ機器や美術品・骨董品、宝飾・貴金属のような財産は、市場価値が高い場合、相続税の対象として計算に含める必要があります。骨董品や美術品の場合などは、専門家による鑑定が必要になることもあるでしょう。
 

形見分けとして受け取る場合の考え方

親の家電や家具を受け取る場合は、「形見分け」として行われることが一般的でしょう。形見分けは、相続人同士で遺品を分ける行為であり、法律上は相続財産の分配の一部と考えられます。相続税の申告が必要な場合でも、家電などはまとめて家庭用財産として扱われることが多く、細かく一つひとつ申告する必要がないケースもあります。
 
そのため、実務上は、預金、不動産、有価証券といった主要財産を中心に整理し、家電などは形見分けとして家族で話し合って決めることが一般的です。金銭的価値よりも、思い出や生活の記憶が詰まったものだと思われますので、税金を過度に心配するよりも、家族で納得できる形で受け継ぐことが大切といえるでしょう。
 

まとめ

親の冷蔵庫やテレビなどの大型家電を受け取った場合でも、それだけで相続税がかかるケースはほとんどないといえるでしょう。相続税は遺産の総額が基礎控除を超えた場合に課税され、家電などの家庭用財産は中古価値で評価されるためです。
 
さらに、1個または1組5万円以下の家庭用財産は原則として評価しない取り扱いもあります。多くの家庭では、家電は相続税計算に大きく影響しないことが一般的です。
 
大型家電を受け取ることだけで過度に不安を感じるのではなく、まずは遺産全体の内容を整理し、必要に応じて専門家にも確認しながら落ち着いて対応しましょう。
 

出典

国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 法令解釈通達 第6章 動産 第1節 一般動産
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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