夫が亡くなり、夫の養老保険を相続しました。受取人は私(妻)で満期保険金を受け取ったのですが、税金を払う必要はありますか?
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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契約者が死亡した場合の税金は?
契約者(保険料負担者)と被保険者(保険の対象となる人)が異なる生命保険で、契約者が保険期間中に死亡した場合、例えば、契約者(保険料負担者):夫、被保険者:妻、の契約形態で、夫が死亡した場合の税金を考えてみます。
この場合、妻が死亡したわけではないので、誰も死亡保険金を受け取ることができませんし、死亡保険金の非課税限度額「500万円×法定相続人の数」の適用もありません。
しかし、この生命保険契約には、解約返戻金を受け取ることができるなど一定の財産的な価値がありますので、夫が死亡した時点で、妻は「生命保険契約に関する権利」を相続することになり、相続税の課税対象です。
「生命保険契約に関する権利の評価額」は、相続開始時に解約するとした場合に受け取れる解約返戻金の額によって評価されます。解約返戻金と同時に、配当金や前納保険料などが支払われる場合は、これらを加算し解約の時に源泉徴収される所得税等があれば差し引きます(財産評価基本通達)。
なお、このケースにおいて、「生命保険契約に関する権利」は本来の相続財産になりますので、遺産分割協議の対象です。つまり、誰が相続するのかが決まれば、その旨を遺産分割協議書に記載する必要があり、その後、契約者、受取人を変更します。
相続した生命保険契約の満期保険金を受け取った場合の税金は?
夫が死亡し、契約者を妻、満期保険金の受取人を妻に変更した後、妻が満期保険金受け取った場合、契約者(保険料負担者)と満期保険金受取人が同一人ですので、一時所得として所得税および住民税の課税対象です。
一時所得の金額は、次のように計算します。
【一時所得の金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額50万円】
これを、満期保険金を受け取った場合に当てはめると、一時所得の金額は、「満期保険金-払込保険料総額-特別控除額50万円」です。なお、課税の対象となるのは、この金額をさらに2分の1にした金額です。
この場合の「収入を得るために支出した金額(払込保険料総額)」は、被相続人(亡くなった方)が支払ってきた保険料を含めて計算できます(相続税法基本通達3-35)。
満期保険金受取時の計算例
契約者・満期保険金受取人:夫→新契約者:妻
被保険者:妻
一時払保険料:800万円(夫が負担)
満期保険金:1000万円
相続税評価額:900万円(夫死亡時の解約返戻金)
夫の死亡により生命保険契約を相続した妻が、満期保険金を受け取った場合の一時所得の金額は、「満期保険金1000万円-払込保険料総額800万円(※)-特別控除額50万円=150万円」となり、この金額をさらに2分の1にした金額(75万円)が課税の対象です。
(※)夫が負担した保険料は、この契約を引き継いだ妻が負担したものとして扱われます。
まとめ
契約者(保険料負担者)と被保険者が異なる生命保険契約において、契約者が保険期間中に死亡した場合、新しく契約者(保険料負担者)となった人が契約を相続します。この際、契約者が死亡した時点で、「生命保険契約に関する権利」として評価された金額(解約返戻金相当額)が相続税の課税対象です。
以降、被相続人(旧契約者)が支払った保険料は、相続人である新契約者が支払ったものとされるので留意しましょう。
出典
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁 No.4660 生命保険契約に関する権利の評価
国税庁 No.1490 一時所得
国税庁 法令解釈通達 〔生命保険契約に関する権利関係〕 (契約者が取得したものとみなされた生命保険契約に関する権利)
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
