父の遺言書に「財産分与の割合が、長男6割、三男3割、次男の自分は1割」と書いてありました。遺留分請求で対抗できますか? まず何から始めればいい?
相続では、遺言書の内容だけでなく、相続人に認められる権利や手続きの進め方を確認することが大切です。本記事では、遺言で取り分が少ない場合に遺留分を請求できるのか、また請求前に何から始めればよいのかを解説します。
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目次
遺言で取り分が少なくても、遺留分を請求できる場合がある
結論からいえば、次男の取り分が1割でも、遺留分を下回っていれば請求できる可能性があります。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の取り分です。子は遺留分権利者にあたるため、次男にも原則として遺留分があります。
ただし、遺留分の請求をしても、遺産そのものを取り戻すことができるとはかぎりません。現在は、足りない分を金銭で請求するのが基本です。つまり、「遺産そのものをそのまま取り戻す」というより、「不足分をお金で支払ってもらう」と考えると分かりやすいでしょう。
次男の取り分1割が少なすぎるかは、法定相続分から考える
例えば、母がすでに亡くなっていて、相続人が長男・次男・三男の3人だけなら、法定相続分はそれぞれ3分の1です。この場合、各人の遺留分は法定相続分(3分の1)の2分の1である全体の6分の1(約16.7%)になります。遺言で次男が1割しか受け取れない場合は、その差額について遺留分を侵害されている可能性があります。
ただし、実際の計算は単純ではありません。今回の事例とは異なりますが、母が存命なら配偶者の取り分も関わりますし、父に借金があれば差し引いて考えます。また、生前に特定の子へ多額の贈与があった場合は、その分も加味して考える必要があります。遺言に記載のある割合だけで判断せず、相続人と遺産の全体像を確かめることが大切です。
遺留分請求の前に、遺言書と遺産の内容を確認する
まず始めるべきことは、感情的に抗議することではなく、遺言書の種類と内容を正確に確かめることです。公正証書遺言はそのまま確認できますが、自筆証書遺言は原則として家庭裁判所の検認が必要です。ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合は、検認を受ける必要はありません。
次に、遺産の内容を調べます。不動産、預貯金、有価証券、保険、借入金の有無などを整理し、一覧にしておくとよいでしょう。さらに、父が生前に長男や三男へ大きな贈与をしていなかったかも確認したいところです。ここが曖昧なままだと、請求できる金額を正しく判断できません。
そのうえで、遺留分を侵害している相手に対して、内容証明郵便など記録が残る方法で請求の意思を示すのが一般的です。
遺留分請求は期限があるため、確認と手続きを早めに進めよう
父の遺言で自分の取り分が少なくされていても、子であれば遺留分を請求できる可能性があります。ただし、遺留分の請求は遺産そのものを取り戻す手続きではなく、不足分に相当する金銭の支払いを求めるものです。まずは遺言書の種類、相続人の範囲、遺産の内容を確認し、請求できるかを整理することが大切です。
遺留分侵害額請求には、「相続開始及び侵害を知ったときから1年のうちに行使する」「相続開始から10年経過すると時効で消滅」などの厳格な期限があるため(民法 第1048条)、必要な準備は早めに進め、冷静に対応していきましょう。
出典
法務省 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)
最高裁判所 遺言書の検認
デジタル庁 e-Gov法令検索 民法 第1048条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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