母が「実家は長男が継げばいい」と何気なく話していました。昔はそういう考え方も多かった気がしますが、家族が納得していればそのまま決めてよいのでしょうか? 相続の基本を解説!

配信日: 2026.05.12
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母が「実家は長男が継げばいい」と何気なく話していました。昔はそういう考え方も多かった気がしますが、家族が納得していればそのまま決めてよいのでしょうか? 相続の基本を解説!
親との会話のなかで、「実家は長男が継ぐもの」といった話が出ることがあります。昔からの慣習として、そのように考える家庭もあるでしょう。しかし、相続は家族の気持ちだけでなく、法律上の権利や手続きも関係します。実家を誰が相続するかを考えるときは、昔ながらの考え方と現在の相続制度を分けて理解することが大切です。
 
そこで本記事では、長男が実家を相続する場合の基本的な考え方や、家族で決める際の注意点について解説します。
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「実家は長男が継ぐ」は現在の法律で決まっているわけではない

かつて日本では、「長男が家を継ぐ」という考え方が広く定着していました。これは、戦前の「家督相続」という制度の影響です。家督相続では、家の代表者の地位や財産を長男などが引き継ぐ仕組みがありました。
 
しかし、現在の相続では「長男だから実家を相続する」と法律で決まっているわけではありません。亡くなった人の配偶者は常に相続人となり、子どもがいる場合は子どもも相続人になります。
 
子どもが複数いる場合、原則として子ども同士の相続分は均等です。例えば、父が亡くなり、母と子ども2人が相続人になる場合、法定相続分は母が2分の1、子ども2人がそれぞれ4分の1です。
 
つまり、長男だけに当然の権利があるわけではなく、長女や次男などにも相続の権利があります。「昔からそうしてきたから」という理由だけで決めると、後から不満が出る可能性があります。
 

家族が納得していれば長男が実家を相続することはできる

一方で、家族全員が納得している場合は、長男が実家を相続すること自体は可能です。法定相続分は、あくまで話し合いがまとまらない場合の目安であり、必ずしもその割合どおりに分けなければならないものではありません。相続人全員が合意すれば、実家を長男が相続し、他の相続人は預貯金を受け取るといった分け方もできます。
 
ただし、「納得している」という状態は、慎重に確認する必要があります。例えば、母が元気なうちは兄弟姉妹も何も言わなかったのに、相続が始まった後で「実家だけでなく預金も含めて公平に分けたい」と主張が変わるケースは少なくありません。
 
また、実家の価値が高い場合は注意が必要です。長男が実家を相続し、他の兄弟姉妹がほとんど財産を受け取れないとなれば、不公平感が生まれ、トラブルの火種となります。
 
その場合は、長男が他の相続人に対して差額を金銭で支払う「代償分割」という方法も有効です。相続は実家単体で考えるのではなく、預貯金や借入金、葬儀費用なども含めた遺産全体のなかでいかに公平性を保つかを考えていくことが大切です。
 

後でもめないためには遺産分割協議と書面化が大切

遺言書がない場合、相続人全員で財産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。実家を長男が相続する場合でも、口約束だけで済ませるのは避けましょう。
 
相続人全員が内容を確認したうえで、署名や押印を行い、遺産分割協議書として書面化しておくことが重要です。これにより、後から「そのような話は聞いていない」「納得していない」といったトラブルを防ぎやすくなります。
 
また、実家などの不動産を相続した場合は、遺産分割協議の結果に基づいた「相続登記」も必要となります。相続登記をしないまま放置すると、次の相続が発生して権利関係が複雑になり、手続きが非常に困難になる可能性があるため、早めの申請が肝要です。
 
母が生前に「長男に実家を継がせたい」と考えているのであれば、遺言書を作成しておくことが有効な解決策となります。
 
ただし、遺言書があっても、他の相続人の「遺留分(最低限の相続分)」に配慮しない内容だと、かえって争いの原因になりかねません。家族間での話し合いが難しい場合や遺言書の作成・分割方法で迷う場合は、税理士や司法書士、弁護士などの専門家に早めに相談すると安心です。
 

実家の相続は家族全員が納得できる形で決めよう

現在の相続制度では、「長男だから実家を継ぐ」と自動的に決まるわけではありません。配偶者や子どもには法律上の相続権があり、子ども同士は原則として平等に扱われます。
 
ただし、相続人全員が納得していれば、長男が実家を相続する分け方も可能です。その場合は、実家だけでなく、預貯金や他の負債なども含めた財産全体のなかでバランスを見ながら話し合い、合意内容を「遺産分割協議書」として書面に残し、法務局で必要な相続登記の手続きまで完了させることが大切です。
 
実家の相続は、家族の思い出や感情も深く関わるため、単純に金額だけでは決められません。実家の相続が原因で家族関係を悪化させないためにも、早めに話し合いを始め、全員が納得できる着地点を話し合いで見つけていくようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 No.4202 相続税の申告のために必要な準備
東京法務局 相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始) ~なくそう 所有者不明土地! ~
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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