両親とも健在なのですが、兄に「相続のことを考えるなら、まず財産の全体像を知るべき」と言われました。預金や不動産の確認といっても、家族がどこまで把握しておくべきでしょうか?

配信日: 2026.05.13
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両親とも健在なのですが、兄に「相続のことを考えるなら、まず財産の全体像を知るべき」と言われました。預金や不動産の確認といっても、家族がどこまで把握しておくべきでしょうか?
両親が元気なうちに相続の話をするのは、気が引けるものです。預金額や不動産の内容を聞くと、財産をあてにしているように受け取られないか不安になる方もいるでしょう。
 
一方で、何も分からないまま相続が発生すると、手続きに時間がかかり、家族間の話し合いも難しくなります。では、家族はどこまで財産の情報を把握しておけばよいのでしょうか。
 
本記事では、両親が健在なうちに家族が把握しておきたい財産情報の範囲や、確認するときの注意点について解説します。
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両親が元気なうちに財産の全体像を知る必要はある?

相続の準備では、財産の細かい金額まで家族全員が把握しておく必要はありません。ただし、どのような財産があるのかという全体像は、早めに確認しておくと安心です。
 
相続税は、遺産の総額が基礎控除額を超える場合に課税されます。基礎控除は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。例えば、相続人が母と子ども2人の場合、基礎控除額は4800万円です。財産全体がこの金額を明らかに超えそうかを知るだけでも、税理士に相談すべきか判断しやすくなります。
 
また、相続税の申告が必要な場合は、期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と法律で厳格に定められています。相続発生後に一から財産調査を始めると、この限られた期間内で遺産分割協議や書類収集、申告までを行う必要があり、残された家族の負担は非常に大きくなります。円滑な相続のためにも、事前の財産把握が大切です。
 

預金や不動産は家族がどこまで把握しておくべきか

預金については、口座の残高を常に共有する必要はありません。まずは、どの金融機関に口座があるかを把握しておくことが大切です。銀行名、支店名、通帳やキャッシュカードの保管場所が分かれば、相続時の確認が進めやすくなります。
 
ただし、暗証番号やインターネットバンキングのパスワードを家族で共有しないほうがよいでしょう。本人以外がお金を引き出したり振り込んだりできる状態にしてしまうと、後で使い道を説明しにくくなることがあります。
 
共有すべきなのは、暗証番号やパスワードではなく、銀行名や支店名、通帳の保管場所など、相続時に口座の存在を確認するための情報です。
 
不動産については、自宅以外に土地や建物があるかを確認しておきましょう。固定資産税の納税通知書があれば、所有している不動産の手がかりになります。土地や建物の登記事項証明書は、法務局の窓口、郵送、オンラインで請求できます。
 
不動産を相続した場合は、相続登記が必要です。2024年4月1日から相続登記は義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。期限内に手続きを進めるためにも、自宅以外に土地や建物を持っていないか、固定資産税の納税通知書などで確認できるようにしておくことが大切です。
 

財産を確認するときは借金や保険も忘れずに

相続で確認する財産は、預金や不動産だけではありません。株式や投資信託、生命保険、自動車、貴金属なども内容に応じて確認が必要です。
 
例えば生命保険は、契約者や受取人によって扱いが変わるため、保険会社名や保険証券の保管場所を把握しておくと安心です。また、最近はネット証券やネット銀行を利用しているケースもあるため、郵便物やメールの管理方法も確認しておくとよいでしょう。
 
さらに、借金やローン、保証人になっている契約にも注意が必要です。相続では、プラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産も引き継ぐ可能性があります。住宅ローンやカードローン、事業資金の借り入れがないかを確認しておくと、相続後の判断がしやすくなります。
 
生命保険については、保険会社名、契約者、被保険者、受取人を整理しておくと安心です。保険金は受取人固有の財産として扱われる場合がありますが、保険料の負担状況などによっては、相続税の計算で関係することがあります。契約内容によって扱いが変わるため、保険証券の保管場所だけでも共有しておきましょう。
 

相続準備では、財産額より情報の置き場所を家族で共有しよう

両親が健在なうちに家族が把握しておきたいのは、預金残高や資産額の細かな数字ではありません。大切なのは、どの金融機関を使っているか、どの不動産を持っているか、保険や借り入れがあるか、そして関係書類がどこに保管されているかです。
 
両親に財産や書類の保管場所について確認するときは、「相続のために財産を教えてほしい」と切り出すより、「急な入院や手続きで困らないように、書類の場所だけ共有しておきたい」と伝えると、話し合いを始めやすくなります。
 
家族で財産の全体像をゆるやかに共有しておけば、将来の手続きだけでなく、親の生活を守る準備にもつながります。相続対策は、財産を分ける話ではなく、家族が困らないための備えです。両親が元気なうちに、無理のない範囲で必要な情報を共有しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
法務局 各種証明書請求手続
法務省 不動産を相続したらかならず相続登記! 令和6年4月1日から義務化されました
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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