親戚の相続を見て、父が「遺言書がなくても家族で話せばまとまる」と言っています本当にそれで大丈夫なのでしょうか?
特に遺言書がない場合は、思っていた以上に確認すべきことが多くなることもあります。そこで本記事では、遺言書がない相続で起こりやすいことや、家族の負担を減らすために考えておきたいポイントを解説します。
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遺言書がなくても相続はできるが、全員の合意が必要
遺言書がない場合、相続人全員で財産の分け方を話し合います。これを、「遺産分割協議」といいます。話し合いがまとまれば、その内容を「遺産分割協議書」にまとめ、預貯金の解約や不動産の名義変更などに使います。
ただし、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。例えば、母と子ども2人が相続人であれば、3人全員が納得しなければ成立しません。誰か一人でも反対すれば、手続きが進まない可能性があります。
また、相続税の申告が必要な場合、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内が申告と納税の期限です。話し合いが長引くと、必要な書類を集める時間も限られ、期限内の対応が慌ただしくなることがあります。
家族仲がよくても相続で意見が分かれやすい理由
相続でもめるのは、家族仲が悪い家庭だけではありません。普段は問題がなくても、財産の分け方になると考え方の違いが出ることがあります。
例えば、親の介護をしていた子どもは「自分の負担を考えてほしい」と感じるかもしれません。一方で、離れて暮らしていた子どもは「法律上の取り分は受け取りたい」と考えることがあります。どちらの考えにも理由があるため、互いの希望を調整するには丁寧な話し合いが必要です。
特に注意したいのが不動産で、自宅は現金とは違って分けることができません。誰かが住み続けたい場合、売却して現金で分けたい人との間で意見が分かれることがあります。共有名義にすると、売却や管理のたびに全員の同意が必要になり、相続後も負担が残りかねません。そのため、事前に方向性を考えておくことが大切です。
遺言書があると相続手続きの負担を減らしやすい
遺言書があると、亡くなった人の意思が明確になります。誰にどの財産を引き継がせたいのかが分かれば、相続人はその内容をもとに手続きを進めやすくなります。
例えば、自宅を配偶者に残したい場合や、特定の子どもに事業用の財産を引き継がせたい場合は、遺言書が役立ちます。口頭で「この家は母に残す」と伝えていても、正式な遺言書がなければ、手続き上その意思をそのまま反映できるとはかぎりません。
遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言や」、公証役場で作る「公正証書遺言」などがあります。自筆証書遺言は手軽ですが、形式に不備があると無効になる可能性があります。そのため、確実性を重視する場合は専門家に相談することも検討しましょう。
ただし、遺言書を作成すれば何でも自由に決められるわけではありません。相続人には、最低限の取り分である「遺留分」が認められる場合があります。特定の相続人に財産を多く残す内容にすると、ほかの相続人が不公平だと感じ、かえって争いにつながることもあるため、家族の事情に合った内容にすることが重要です。
家族の負担を減らすために遺言書を準備しよう
「家族で話せばまとまる」という考えは、家族を信頼しているからこそ出てくるものです。しかし、相続では悲しみのなかで期限のある手続きを進めなければなりません。さらに、不動産や介護の負担など、感情が絡みやすい問題も出てきます。
遺言書は残された家族が迷わず、必要以上に悩まずに手続きを進めるための準備です。親に話す際は、「もめるかもしれないから書いてほしい」と伝えるより、「家族の負担を減らすために考えてほしい」と伝えるとよいでしょう。
相続は、起きてから対応するより、元気なうちに準備するほうが冷静に判断できます。家族で話せる今だからこそ、財産の整理や遺言書の作成を前向きに検討しましょう。
出典
国税庁 No.4202 相続税の申告のために必要な準備
法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
法務省 自筆証書遺言書保管制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
