母が「相続ではお金より“思い入れのある物”のほうが逆に分けにくい」とこぼしていました。たしかに実家の家具や貴金属などは金額だけで決めにくいですよね。こうした財産はどう考えるべきなのでしょうか?
これらは金額だけでは判断しにくく、家族それぞれの思い出も関わります。では、こうした財産はどのように考え、どのような手順で整理すればよいのでしょうか。本記事で確認していきましょう。
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目次
思い入れのある物は、財産と気持ちを分けて考える
実家にある家具や貴金属などは、法律上は相続財産に含まれる可能性があります。相続財産とは亡くなった人が残した財産のことで、現金や預貯金だけでなく、時計、宝石、美術品、家電、家具なども含まれます。
ただし、このような物はすべてを同じように扱うと、かえって話し合いが難しくなります。例えば、母が大切にしていた指輪は、売れば金額がつくかもしれません。一方で、子どもにとっては「母がいつも身に着けていた物」として、金額以上の意味を持つことがあります。
そのため、まずは「売れば価値がある物」と「思い出として残したい物」を分けて考えることが大切です。高価な物は財産として整理し、思い出の品は形見分けとして話し合うと、相続人同士の気持ちを尊重しやすくなります。
家具や貴金属は価値を確認してから分け方を決める
家具や日用品の多くは、中古品としての価値があまり高くないことがあります。そのため、実務上は相続人の話し合いによる形見分けで整理されることが多いです。形見分けとは、故人が使っていた物を家族や親族で分けることです。
一方で、貴金属、ブランド時計、美術品、骨とう品などは注意が必要です。これらは見た目だけでは価値が分かりにくく、思った以上に高額になることがあります。価値が高い物を一部の相続人が勝手に持ち帰ると、あとで他の相続人から「不公平だ」だと思われ、トラブルになるおそれがあります。
例えば、金のネックレスやダイヤの指輪がある場合は、専門業者に査定を依頼すると目安の金額が分かります。美術品や骨とう品も、専門家の評価を受けることで話し合いが進めやすくなるでしょう。
特に相続税の申告が必要な場合、家庭用財産も評価の対象になることがあります。そのため、価値がありそうな物は安易に処分せず、相続人同士で確認してから扱うことが大切です。
もめないためには記録を残し、全員で話し合う
思い入れのある物を分けるときは、誰か一人が判断しないことが大切です。まずは、実家に残された物を写真に撮り、簡単な一覧表を作ります。品名や保管場所、希望者、査定額の有無などを記録しておくと、話し合いがしやすくなります。
特に、貴金属や時計などは、小さくて持ち出しやすい物なので、扱いには注意が必要です。本人に悪意がなくても、先に持ち帰ったことが分かると、他の相続人から疑いを持たれる場合があります。家族関係を守るためにも、誰が何を受け取ったのかを記録し、相続人全員に分かる形で整理しましょう。
同じ品物を複数の相続人が受け取りたい場合は、すぐに金額で決める必要はありません。例えば、母の指輪を長女が希望し、時計を長男が希望するなど、思い入れに応じて分ける方法があります。
また、複数の人が同じ物を希望する場合は、話し合いで受け取る人を決める、代わりに別の物を受け取る、査定額を参考にして金銭で調整する、売却して代金を分けるといった方法もあります。
どうしても話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の「遺産分割調停」を利用する方法もあります。調停では、相続人の意向や資料を確認しながら、合意を目指して話し合います。感情的な対立が強い場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談することも有効です。第三者の視点が入ることで、冷静に整理しやすくなるでしょう。
思い出の品は早めに話し合い、納得できる分け方を考えよう
実家の家具や貴金属などは、金額だけで分け方を決めにくい財産です。特に、故人が大切にしていた物には、家族それぞれの思い出が重なります。
そのため、まずは財産として価値がある物と思い出として残したい物を分けて考えることが大切です。価値がありそうな物は、処分する前に写真を撮り、必要に応じて査定を受けましょう。そのうえで、相続人全員が分かる形で話し合えば、不公平感を減らせます。
思い入れのある物の整理は単なる片付けではなく、故人の思い出を受け継ぐ作業です。早めに情報を共有し、納得できる形を探すことで、相続後の家族関係も守りやすくなります。大切な思い出を残すためにも、価値や気持ちの両面を確認しながら、納得できる分け方を話し合いましょう。
出典
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
最高裁判所 遺産分割調停
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
