祖母の遺品整理で「現金500万円」を発見! 兄は「タンス預金だし、2人で分ければバレない」と言いますが、税務署に“申告漏れ”を疑われませんか?「現金だから大丈夫」は甘い!? 注意点を解説
本記事では、タンス預金が相続財産に含まれる理由から、税務署が発見する仕組み、相続確定後に現金が見つかった場合の対応まで解説します。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
タンス預金は相続財産に含まれる
タンス預金も、銀行預金と同じく相続財産に含まれます。相続税法では、亡くなった人が保有していた全ての現金が課税対象と定められています。
タンスの中だけでなく、金庫・仏壇・貸金庫などに保管していた現金も例外なく申告が必要で、「少額ならバレない」といった考えは誤りです。遺産総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、タンス預金も1円単位で正確に財産に含めて申告する義務があります。
「家の中にあった現金は自分のものだと思った」という理由で申告しなかった場合でも、税務署は申告漏れを厳しく追及してきます。今回発見した500万円も、祖母が亡くなった時点での財産として扱われますので、遺産分割の対象に必ず含める必要があります。
タンス預金でも「KSKシステム」で税務署にバレる
現金のままタンスに入れておいても、税務署に発覚する可能性は非常に高いです。
税務署は、KSKシステム(国税総合管理システム)を活用しています。これは、全国の国税局と税務署を専用ネットワークでつなぎ、納税者の申告・納税に関する全記録を一元管理するコンピュータシステムで、2001年から運用されています。
亡くなった人の死亡届が市区町村役場から税務署へ通知されると、税務署はKSKシステムを使って過去の所得税・固定資産税などの申告データを調べます。
生前の収入水準と比べて申告された相続財産が少なければ、タンス預金の存在を疑われます。さらに、税務署は金融機関に対して過去10年分の入出金履歴を照会する権限を持っており、用途不明の現金引き出しが見つかれば、実地調査に踏み込んできます。実地調査では家の中のあらゆる場所が確認対象となります。
相続確定後に現金を見つけたらどうする?
相続の手続きが終わったあとにタンス預金が見つかった場合は、速やかに修正申告を行う必要があります。
まず、相続人全員で新たに発見した現金の分割方法を話し合い、合意内容を確定させます。遺産分割協議をゼロからやり直す必要はなく、新たに発見された現金の分だけを対象として別途協議を進めれば問題ありません。分割方法が決まったら、相続税の修正申告書を作成・提出して、不足していた税額を納付しましょう。
申告にあたって、タンス預金には銀行のような残高証明書はありませんが、発見時の状態をスマートフォンで写真に撮ったり、複数人で金額を確認してメモを残したりするなど、客観的な記録をとったうえで申告手続きを進めましょう。
ただし、見つかってすぐに自主的に申告したとしても、申告期限から納税までの期間に応じた延滞税は別途必要になる点に注意が必要です。税務調査の通知が来る前に自主的に修正申告を行えば、原則として過少申告加算税はかからず、延滞税の納付のみで済むケースが多くなります。
一方、意図的に隠していたと判断された場合は、重加算税が課せられます。重加算税は相続税額の35%または40%が加算されるうえ、悪質な隠ぺいと認められれば相続税法違反として10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金(または併科)が科せられる可能性もあります。
まとめ
タンス預金は相続財産であり、申告は法律上の義務です。現金だからバレないという考えは、KSKシステムや税務調査の実態を知れば通用しないと分かります。
相続手続きの途中であっても完了後であっても、発見した現金は速やかに相続人全員で分割を協議し、修正申告を行うのが最善の対応です。
自主的に申告すれば加算税が軽減される可能性がある点も、早期対応を後押しする大きな理由になります。少しでも不安を感じたら、相続専門の税理士に早めに相談するのが、後々のトラブルを防ぐ近道です。
出典
国税庁 II納税者サービスの充実と行政効率化のための取組
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
