親が亡くなった場合、遺産分割協議が終わるまで預金は全く動かせないのでしょうか? 事前に引き出しておくことが賢明ですか?

配信日: 2026.05.16
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親が亡くなった場合、遺産分割協議が終わるまで預金は全く動かせないのでしょうか? 事前に引き出しておくことが賢明ですか?
親が亡くなった後、銀行口座からお金を引き出せず、葬儀費用や入院費の支払いに困るのではないかと不安に思う人は多いでしょう。また、「口座が凍結される前に預金を引き出しておいたほうがよいのでは」と考える人もいます。
 
ただし、相続に関係する預金は、扱い方を誤ると家族間のトラブルにつながることがあります。そこで本記事では、親が亡くなった後の預金の扱いと事前に引き出す場合の注意点を解説します。
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親が亡くなると預金口座はすぐに使えなくなる?

親が亡くなったからといって、銀行口座が自動的にすぐ凍結されるわけではありません。口座の取引が停止されるのは、銀行が名義人の死亡を知った時点です。
 
そのため、死亡届を役所に出しても、その情報がすぐ銀行へ共有されるわけではなく、しばらく通常どおり利用できる場合もあります。ただし、銀行が死亡の事実を把握すると、預金の引き出しや振り込み、口座振替などは原則としてできなくなります。
 
死亡後の預金は相続財産として扱われ、相続人の一人が勝手に使うと、ほかの相続人の取り分に影響するおそれがあるためです。
 
例えば、親の口座から葬儀費用を支払いたい場合でも、銀行が死亡を把握した後は、通常のキャッシュカードや通帳だけでは引き出せません。口座凍結後は、金融機関所定の相続手続きが必要です。そのため、亡くなったら全く動かせないとまではいえませんが、自由に使える状態ではなくなると考えておく必要があります。
 

遺産分割協議前でも預金を引き出せる制度がある

遺産分割協議が終わるまで預金を一切引き出せないと、葬儀費用や未払いの医療費、残された家族の生活費に困ることがあります。こうした事情に対応するため、遺産分割前でも一定額を引き出せる「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」が設けられています。
 
この制度を利用すると、各相続人は金融機関の窓口にて、各相続人が単独で一定額の払戻しを受けられます。計算式は、「相続開始時の預金額×3分の1×その相続人の法定相続分」です。ただし、同じ金融機関から受けられる払戻しは150万円までとされています。
 
例えば、配偶者のいない親の預金が600万円あり、相続人が子ども2人の場合、子ども1人の法定相続分は2分の1です。この場合、「600万円×3分の1×2分の1=100万円」まで払戻しを受けられる可能性があります。
 
遺産分割前の預貯金の払戻し手続きでは、戸籍謄本、本人確認書類、印鑑証明書などを提出するのが一般的です。必要書類は金融機関によって異なるため、まずは口座のある銀行に確認しましょう。
 

亡くなる前の預金引き出しは相続トラブルの原因になる

一方で、口座が凍結される前に備えておきたいからといって、親が亡くなる前に預金を引き出しておくことが、必ずしもよい方法とはいえません。親本人の意思で医療費や生活費に使うための引き出しであれば問題になりにくいですが、使い道が不明なまま多額の現金を引き出すと、相続人同士で疑いが生じやすくなります。
 
例えば、長男が親の通帳を管理していて、亡くなる直前に100万円を引き出したとします。そのお金を葬儀費用や入院費に使ったとしても、領収書やメモがなければ、ほかの相続人から「自分のために使ったのではないか」と見られる可能性があります。
 
また、預貯金は相続税の対象になる財産です。相続税の課税対象には、現金や預貯金など、金銭に換算できる財産も含まれます。そのため、生前に引き出した現金も死亡時に残っていれば相続財産として扱われる点に注意しましょう。
 
事前に引き出す場合は、金額、日付、使い道を記録し、領収書を保管することが重要です。可能であれば、ほかの相続人にも事前に共有しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
 

親の預金は、引き出す前に方法と注意点を確認しよう

親が亡くなった後でも、遺産分割協議が終わるまで預金を全く動かせないわけではありません。一定の条件を満たせば、「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」を利用できます。
 
一方で、亡くなる前に預金を引き出しておくことが常に賢明とはいえません。使い道が不明な引き出しは、相続人間の不信感につながります。特に高額な引き出しは、後から説明を求められる可能性があります。
 
親の預金を引き出すときに大切なのは、必要な金額を相続人に説明できる形で用意することです。葬儀費用や医療費などで預金を使う場合は、領収書を残し、「いつ」「いくら」「何に使ったのか」を記録しておく必要があります。
 
親の生前に引き出すべきか、死後に払戻し制度を使うべきか迷う場合は、金融機関や税理士、弁護士などの専門家に相談し、家族間のトラブルを避けながら手続きを進めましょう。
 

出典

一般社団法人全国銀行協会 ご存知ですか? 遺産分割前の相続預金の払戻し制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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