夫の実家が田舎にあり、相続が話題に! 売れる見込みがなく、固定資産税などの負担も心配です。このような家でも資産になるのでしょうか?
特に不動産を相続する場合、資産価値のある不動産と、固定資産税などの負担が大きい不動産があります。今回は、不動産を相続する際の注意点と対策について詳しく解説します。
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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当該不動産を含めた相続財産の価値を把握する
当該不動産を含めたすべての相続財産を把握し、その価値と固定資産税などの負担額を確認しましょう。
今回の事例では、当該不動産の価格と固定資産税の額や維持経費、その他の金融資産の額、負債の有無などを確認します。その結果を踏まえて、相続するか相続を放棄するかを検討しましょう。
1.相続する場合
当該不動産を含めて相続するときは、遺言書がある場合は遺言書に基づき、遺言書がない場合は関係相続人が遺産分割協議を行い協議した分割割合に応じて、相続します。
当該不動産を相続した場合は、当該不動産を管轄する法務局へ相続登記の申請を行います。なお、2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料が課せられます(※1)。
2.相続放棄する場合
主な相続財産が当該不動産のみであり、売却することが困難と見込まれる場合は、相続を放棄することも対策の一つとなります。ただし、当該不動産のみを放棄することはできないため、すべての財産の相続を放棄しなければなりません。
相続放棄の手続きは、相続の開始を知ってから3ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
相続した不動産を処分する
相続した不動産を利用する予定がない場合、保有し続けると固定資産税や維持経費がかさみます。そして、空き家を放置し続けると老朽化して環境衛生上の問題が発生したり、近所に迷惑をかけたりすることになります。
また、空き家の管理を怠ると特定空家等(※3)に指定され、住宅用地特例の適用対象外となり、固定資産税の負担が増加します。そこで、利用する予定のない不動産は、以下の順で手放すことを考えましょう。
1.不動産を売却する
不動産会社などに売却することを考えましょう。この際、建屋を取り壊すと売却しやすくなることがあります。売却手数料や建屋の撤去費用などが発生しても、売却を優先して検討しましょう。
2.無償譲渡する
可能であれば、隣家や地方自治体などに無償で譲渡できないか確認すると良いでしょう。
3.国に所有権を移転する
要件を満たした土地であれば、「相続土地国庫帰属制度(※4)」を利用して、国に当該不動産の所有権を移転することができます。
この制度を利用する手順は、以下の順になります。
(1)当該不動産を管轄する法務局に相談
(2)申請書類を作成し法務局に提出
(3)承認された場合、負担金を納付して移転登記
この制度を利用するためには、以下のような要件を満たす必要があります。
(1)建物のない土地であること
(2)抵当権や賃借権が設定されていないこと
(3)土壌汚染がないこと
(4)境界線が不明確でないこと
なお、崖地など管理が困難な土地の場合、申請が却下されることがあります。また、負担金の額は、概ね20万円程度です。
まとめ
資産価値のない不動産でも相続財産となります。利用する予定のない不動産を相続すると、固定資産税や維持管理費用などの負担が生じます。
当該不動産を含めたすべての相続を放棄することもできますが、相続した場合は速やかに相続登記を済ませ、空き家の管理を適切に行うとともに、早期に手放すことを検討しましょう。
出典
(※1)東京法務局 相続登記が義務化されました
(※2)最高裁判所 相続の放棄の申述
(※3)国土交通省 空家等対策特別措置法について
(※4)政府広報オンライン 相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
