毎月「3万円」母に仕送りしているのですが、兄は一切出していません。介護や生活費を支えた分、将来の相続で多く受け取れることはあるのでしょうか?
特に、毎月3万円程度の仕送りを長年続けている場合、「将来、相続で一定程度考慮されるのではないか」と考える人もいるかもしれません。
この記事では、仕送りと寄与分の関係、裁判所の判断基準、そして将来の揉め事を防ぐために今からできる準備を分かりやすく整理します。
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目次
月3万円の仕送りは「寄与分」になる? 相続で多く受け取るための法的条件と壁
親に毎月3万円の仕送りを続け、生活を支えている状況で、何もしていない兄弟と同じ相続分であることに納得がいかない方もいるかもしれません。法律には、被相続人(親)の財産の維持や増加に貢献した相続人に対し、本来の相続分に上乗せする「寄与分」という制度があります。
しかし、今回の月3万円程度の仕送りが直ちに「寄与分」として認められるケースは、極めて稀であると考えられます。民法では、直系血族の間にはお互いを扶養する義務があると定められています。この「扶養義務」の範囲内で行われる金銭的援助は、特別な貢献とはみなされないのが一般的な見解です。
寄与分として認められるためには、その貢献が「特別の寄与」である必要があるとされています。つまり、親族としての扶養義務を明らかに超えるような、多額の出資や無償の療養看護などが必要となると考えられます。
仕送り10年で総額360万円でも難しい? 裁判所が判断する「特別な寄与」の基準とは
毎月3万円を10年間続ければ、総額は360万円に達します。これだけの大金を支払っているのだから、相続で考慮されるべきだと考えるのは自然な感情でしょう。しかし、家庭裁判所の審判で寄与分が認められる基準は非常に厳格です。
例えば、仕送りによって親が貯金を切り崩さずに済み、結果として遺産が維持されたとしても、それが「子どもとして当然の援助」の範囲内であれば寄与分には該当しません。
寄与分が認められやすいとされているのは、以下のようなケースです。
(1)家業を無報酬に近い状態で長年手伝い、親の財産を増やした。
(2)親の介護のために仕事を辞め、プロの介護サービスを雇う費用を節約させた。
(3)親の自宅の購入資金やリフォーム代を、数百万円から1000万円単位で全額負担した。
月3万円の仕送りは、親の生活を支える行為のひとつといえますが、法律上の「特別な寄与」として認められるには、金額の大きさだけでなく、それが親の財産維持にどれほど不可欠だったかを客観的に示す必要があると考えられます。
不公平を解消する遺言書と遺留分の知識
法律による「寄与分」の認定が難しい以上、兄との不公平感を解消するための最も有効な手段は、親に「遺言書」を書いてもらうことでしょう。遺言書があれば、法定相続分にかかわらず、特定の子どもに多く財産を相続させることが可能になります。
例えば、親が「長年仕送りをしてくれた子どもに、感謝を込めて遺産の60%を譲る」と遺言書に記せば、基本的にそれが優先されます。ただし、注意が必要なのが「遺留分」です。遺留分とは、相続人に最低限保障されている遺産取得割合のことです。
もし遺言で兄の取り分をゼロにしたとしても、兄が「遺留分侵害額請求」を行えば、支払いに応じなければなりません。後のトラブルを防ぐためには、兄の遺留分に配慮しつつ、仕送り分を考慮した配分を親と話し合っておくことが重要です。
まとめ
法律上の寄与分を認めさせることは容易ではありません。しかし、それはあくまで裁判や調停に発展した際の話です。円満な相続を進めるうえでは、まず家族間で十分に話し合いを行い、相続人同士の合意形成を図ることが基本になります。
まずは、これまで自分が累計でいくら仕送りをしてきたのか、通帳の履歴や振込明細などを整理し、目に見える形で記録を残しておきましょう。その上で、親が健在なうちに、兄を含めた家族会議を行うことが理想的です。
相続が発生してから多くもらえるはずだと主張するよりも、事前に家族間で考え方を共有しておくことや、仕送りの記録を整理しておくことが、将来的なトラブル防止につながるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
