離婚した父が“孤独死”して「家賃滞納45万円」の請求が来ました。部屋の荷物を片付けたら、夫に「相続放棄できなくなる」と言われましたがどういうことですか? 代わりに家賃の支払いは必要でしょうか?
「もう何年も会っていなかったのに、支払わなければならないの?」
「部屋を少し片付けてしまったけど、相続放棄はできる?」
こうした場面では、「相続放棄」と「法定単純承認」が重要なポイントになります。今回は、孤独死後の家賃滞納請求と相続放棄の関係について解説します。
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目次
離婚した父親が孤独死……突然“40万円超え”の滞納家賃を請求されるケース
相続では、現金や預貯金だけでなく、借金などのマイナス財産も引き継ぐ可能性があります。例えば、以下のようなものが相続対象になる場合があります。
・家賃滞納
・未払いの税金
・借入金
・携帯料金や公共料金
裁判所でも、相続放棄の説明の中で、相続人は「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と案内しています。
「離婚していた父親だから相続人ではない」と誤解されるケースもありますが、親が離婚していても親子関係そのものは消えません。民法887条では「子は相続人になる」と定められています。
そのため、疎遠だった場合でも、子どもへ請求や連絡が来るケースはあります。
相続放棄をすれば父親の滞納家賃を払わなくて済む可能性もある
相続放棄とは、被相続人の財産や借金を一切引き継がない手続きです。家庭裁判所へ「相続放棄の申述」を行い、認められれば、原則として家賃滞納などの債務も承継しないことになります。
裁判所によると、相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に手続きする必要があります。
ただし、ここで注意したいのが「法定単純承認」です。民法921条では、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合、単純承認したものとみなすと定めています。単純承認になると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
荷物を少し処分しただけでも危険? 「処分」と判断されるケースとは
「腐った食品を捨てただけ」「部屋を少し片付けただけ」という場合はどうでしょうか。
実際には、何が「処分」に当たるかが問題になります。例えば、財産価値のある遺品を売却したり、持ち帰ったりした場合は、「相続財産の処分」と判断される可能性があります。
一方、衛生上問題のあるゴミの廃棄など、保存管理の範囲内とみられるケースでは、直ちに単純承認になるとは限らないようです。ただし、個別事情によって判断が分かれる可能性もあるため、自己判断は避けたほうがよいでしょう。
孤独死では「残置物」の扱いが問題になりやすい
孤独死のケースでは、賃貸物件に残された荷物、いわゆる「残置物」の扱いが問題になる場合があります。大家や管理会社から、
・部屋の片付け
・遺品搬出
・原状回復
などを求められるケースもあるようです。国土交通省でも、賃貸住宅における残置物処理について、モデル契約条項などを公表しています。
ただし、相続放棄を検討している場合は、「片付け」が相続財産の処分とみなされる可能性もあります。そのため、「どこまで触れてよいのか」「何を処分してよいのか」を慎重に確認する必要があります。
相続放棄する場合、どんな手続きをすればいい?
相続放棄をする場合は、家庭裁判所へ申述手続きを行います。裁判所の案内では、主な必要書類として以下が挙げられます。
・相続放棄申述書
・被相続人の住民票除票
・戸籍謄本 など
また、相続財産に触れてしまった場合、「相続放棄が可能な状態なのか」を専門家へ確認したほうがよいケースもあります。法テラスでも、相続問題に関する相談窓口を案内しています。
相続放棄を考えるなら、遺品整理は慎重に進めることが重要
相続放棄が認められれば、原則として被相続人の借金を引き継がずに済む可能性があります。しかし、相続財産を「処分した」と判断された場合は、法定単純承認とみなされ、相続放棄が認められなくなるケースもあります。
特に、孤独死のケースでは、賃貸物件の残置物整理や家主・管理会社への対応を急ぐ中で、思わぬ形で相続財産に触れてしまうこともあるようです。
そのため、家賃滞納などの請求が届いた場合でも、すぐに自己判断で遺品整理を進めるのではなく、まずは相続放棄できる状況かどうかを確認することが重要です。不安がある場合は、家庭裁判所の手続きや、弁護士など専門家への相談も検討したほうがよいでしょう。
出典
裁判所 相続の放棄の申述
e-Gov法令検索 民法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
