父が「葬儀代300万円あるから安心しろ」と言い残し死亡…しかしATMで「お取り扱いできません」のメッセージに驚愕…残高はあるのにナゼ!? 突如訪れる“口座凍結”の恐ろしい罠とは

配信日: 2026.05.31
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父が「葬儀代300万円あるから安心しろ」と言い残し死亡…しかしATMで「お取り扱いできません」のメッセージに驚愕…残高はあるのにナゼ!? 突如訪れる“口座凍結”の恐ろしい罠とは
長く闘病していた父が亡くなり、悲しみに暮れる間もなく葬儀の手配に追われることになった40代の男性会社員。
 
父は生前、「自分の通帳に葬儀代として300万円あるから安心しろ」と言っていました。その言葉を頼りに、当面の支払いや葬儀代の足しにするため、実家の通帳とキャッシュカードを持ってATMへ向かい「100万円」を下ろそうとしました。
 
しかし、画面に表示されたのは「お取り扱いできません」という冷酷なエラーメッセージ。残高ゼロではないはずなのに、なぜ1円も引き出せないのでしょうか? 実はこれ、親が亡くなった直後に多くの人が直面する「口座凍結」という恐ろしい罠なのです。
西村和樹

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

なぜ親の口座は突然「凍結」されるのか?

そもそも、金融機関は名義人の死亡を知った時点で、その口座を直ちに凍結します。これは、預貯金が「相続財産」となり、一部の相続人が勝手に引き出して他の親族とトラブルになることを防ぐためです。
 
「役所から銀行に連絡が行くわけではないのになぜバレるの?」と疑問に思うかもしれません。しかし、家族が窓口でうっかり「父が亡くなりまして」と口走ってしまったり、新聞のお悔やみ欄(訃報)を銀行員がチェックしていたりすることで、金融機関は死亡の事実を把握します。
 
口座が凍結されると、ATMでの現金の引き出しはもちろん、公共料金やクレジットカードの自動引き落としなども全て停止します。父の言葉を信じて自分の手元に現金を用意していなかった場合、葬儀費用の支払いが迫る中で一気に資金繰りがショートしてしまうのです。
 

「暗証番号を知っているから大丈夫」という甘い認識

「銀行にバレる前に、暗証番号を使ってATMで全額引き出してしまえばいい」と考える人もいるかもしれません。
 
しかし、その行為は非常に危険です。親が亡くなった後の預貯金は、遺産分割の対象となる相続財産です。自分の判断だけで勝手に引き出してしまうと、他の兄弟などの相続人から「財産を隠し持っているのではないか」と疑われ、泥沼の相続トラブルに発展する可能性があります。
 
さらに、亡くなった人の財産に手をつけることは「単純承認」とみなされ、万一親に多額の借金があった場合、相続放棄ができなくなるという致命的なリスクもはらんでいます。
 

凍結を解除するための「果てしない事務手続き」

凍結された口座の預貯金を正式に引き出すためには、遺産分割協議を行い、相続人全員の合意を得た上で金融機関で手続きをする必要があります。
 
この手続きがまた非常に厄介なのです。必要な書類の一例は以下の通りです。
 

・亡くなった人の出生から死亡まで連続した除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・預金の払戻しを希望する人の印鑑証明書

 
特に「出生から死亡まで連続した戸籍謄本」は、親が過去に本籍地を何度も移している場合、全国の役所から何通も取り寄せなければならず、全て揃えるまでに何週間もかかることが珍しくありません。
 

葬儀代が払えない!? 救済措置「預貯金の払戻し制度」の現実

「戸籍を集めている間に葬儀費用の支払い期限が来てしまう!」という悲鳴に応えるため、現在は「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」という救済措置が設けられています。これにより、遺産分割が終わる前でも、一定額までなら他の相続人の同意なしに単独で預金を引き出すことができます。
 
しかし、ここにも落とし穴があります。引き出せる金額には上限が定められており、「相続開始時の預金残高×3分の1×払戻しを受ける人の法定相続分」で計算されます。また、1つの金融機関につき上限は150万円までです。
 
例えば、父の口座に300万円あり、相続人が自分と弟の2人(法定相続分は2分の1ずつ)だったとします。
 
この場合、自分が単独で引き出せるのは「300万円×3分の1×2分の1=50万円」のみです。
 
株式会社鎌倉新書が2025年に行った調査によると、見積もり額より支払い額の方が増えたと回答した人の支払い額の平均値は104万7000円にも上ります。
 
つまり、父が「300万円あるから安心だ」と言ってくれていたのに、制度の壁に阻まれて50万円しか引き出せず、残りの数十万円は自分が一時的に立て替えなければならないという厳しい現実が待っているのです。
 

生前の「具体的な準備」が家族を救う

親が亡くなるという大きな悲しみの中で、複雑なお金の手続きに直面するのは精神的にも肉体的にも限界に近い負担となります。「親のお金があるから大丈夫」という考えは捨て、元気なうちに「どこに、いくらあるのか」「万一のときの葬儀代はどうやって引き出すか」を家族で話し合っておくことが大切です。
 
突然のトラブルで家族が困らないよう、親とのお金の終活について話し合いを始めるべきです。
 

出典

株式会社鎌倉新書 第1回 葬儀費用の実態と納得度調査(2025年)
 
執筆者 : 西村和樹
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

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