退職金「1500万円」のうち「500万円」を、息子夫婦の住宅購入資金として援助すると言う夫…老後資金も不安なのに、親としてそこまで出すべきなのでしょうか? 贈与と老後資金の注意点を確認
しかし、その一方で気になるのが自分たちの老後資金です。退職金1500万円のうち500万円を援助しても問題ないのでしょうか。それとも老後の生活を優先して手元に残しておくべきなのでしょうか。
本記事では、高齢夫婦世帯の家計データや住宅取得資金の贈与に関する税制を踏まえながら、子どもへの住宅資金援助を考える際のポイントを解説します。
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目次
子どもの住宅購入資金支援の前にまずは老後資金を確認しよう
子どもが住宅を購入するタイミングは、親にとっても大きな節目のひとつです。住宅価格の上昇が続くなか、少しでも負担を軽くしてあげたいと考える親は多いでしょう。実際、親からの資金援助によって住宅ローンの借入額を減らせれば、子ども世帯の家計負担を抑える効果が期待できます。
一方で、退職後の生活は現役時代とは異なります。給与収入がなくなり、主な収入源は年金になります。医療費や介護費用、自宅の修繕費など、将来必要になるお金も考えておかなければなりません。
そのため、「子どもを助けたい」という気持ちだけで判断するのではなく、自分たちの老後資金が十分に確保できるかを確認したうえで援助額を決めることが重要です。
退職金1500万円から500万円を援助した場合、老後資金は足りるのか
老後資金を考える際の参考になるのが、総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要」です。
同調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入が月25万4395円であるのに対し、消費支出は26万3979円、非消費支出は3万2850円となっています。その結果、毎月の収支は4万2434円の赤字となっています。
単純計算すると、毎月約4万円の赤字が20年間続いた場合、必要となる資金は約960万円です。もちろん実際には年金額や生活費によって差がありますが、多くの高齢世帯では貯蓄を取り崩しながら生活していることが分かります。
仮に退職金1500万円のうち500万円を子どもへ援助した場合、手元に残るのは1000万円です。
残り1000万円があれば安心と思うかもしれません。しかし、老後生活は20年以上続くケースも珍しくありません。今後の物価上昇や医療費の増加、介護費用、自宅の修繕費などを考えると、1000万円は決して十分な金額とは言い切れないでしょう。
特に夫婦のどちらかが介護を必要とする状態になった場合は、介護サービスの利用料や住宅改修費用など、まとまった支出が発生する可能性があります。
そのため、500万円を援助できるかどうかは、退職金の額だけでは判断できません。年金収入や預貯金、保有資産、健康状態なども含めて総合的に検討することが大切です。
住宅資金の援助には贈与税の非課税制度を活用できる場合がある
子どもにまとまった資金を渡す場合、気になるのが贈与税でしょう。通常、個人から財産を受け取ると贈与税の課税対象になることがあります。しかし、住宅取得のための資金については特例制度が設けられています。
国税庁によると、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば贈与税が非課税となる制度があります。非課税限度額は、省エネ等住宅の場合は1000万円まで、それ以外の住宅の場合は500万円までです。
今回のケースのように500万円を住宅購入資金として援助する場合、住宅の条件や受贈者の所得要件などを満たせば、贈与税を負担せずに資金援助できる可能性があります。
ただし、この制度を利用するためには、住宅の床面積や取得時期などの条件を満たす必要があります。また、非課税となる場合でも申告手続きが必要です。制度を利用できるかどうかによって税負担が大きく変わるため、事前に国税庁の案内を確認したり、税理士などへ相談したりすることをおすすめします。
子どもへの援助は「無理のない範囲」が老後と家族関係を守るポイント
子どもの住宅購入を支援したいと考えるのは、親として自然なことといえるでしょう。実際に資金援助を行うことで、子ども世帯の住宅ローン負担が軽減され、将来の家計にゆとりが生まれる可能性もあります。
しかし、親自身の老後資金が不足してしまうと、将来的に子どもへ経済的な支援を求めることになりかねません。それでは本来の援助の目的とは逆の結果になってしまいます。
まずは夫婦の今後の生活費や年金収入を確認し、医療費や介護費用などの予備資金も含めて必要額を試算してみましょう。そのうえで余裕資金の範囲内で援助額を決めることが重要です。
また、住宅取得等資金の贈与に関する非課税制度を活用できれば、子ども側の税負担を抑えられる可能性があります。制度を正しく理解しながら進めることで、より効率的な資金援助につながるでしょう。
子どもへの援助を優先するべきかどうかに正解はありません。ただし、親自身の老後生活を守ることも同じくらい大切です。家族全員が安心して暮らせるよう、無理のない範囲で支援の方法を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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