父の葬式代に「180万円」かかりました。兄は“相続財産から使えるはず”と言いますが、全部が控除対象になるのでしょうか?

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父の葬式代に「180万円」かかりました。兄は“相続財産から使えるはず”と言いますが、全部が控除対象になるのでしょうか?
突然起こった葬儀の場合、事前の準備もできないうちに、さまざまな手続きを行わなければならず、迷うこともあると思われます。葬式代は後から支払うことができるとはいえ、相続人が支払うことになりますが、相続税の計算上、どこまでの費用が控除対象となるのでしょうか。
吉野裕一

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

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葬式費用は相続財産から控除できる場合がある

株式会社鎌倉新書(東京都中央区)が実施した、「第7回お葬式に関する全国調査」で、6割以上の喪主が事前に準備をしていなかったというデータがあります。突然死ではなくても、多くの人が準備を行わずに、亡くなった後に葬儀業者を決めるなど、慌ただしく準備をしていることが分かります。
 
事前準備を行っている場合には、ある程度の葬式費用も分かっているので、費用についても準備ができると思われますが、準備を行っていない場合には、短期間で費用を準備する必要があることや、故人の預貯金からのお金が引き出せるのかと不安になることもあるでしょう。
 
同調査で葬式費用の総額平均は96万7300円となっていますが、一般葬では122万100円、家族葬は96万3900円、直葬・火葬式で49万5600円、通夜を行わず告別式から火葬までを1日で行う一日葬で、74万4300円とまとまった費用が必要になります。
 
故人の遺産で現金や預貯金が多くある場合でも、相続税の計算上、すべての葬式関連費用を控除できるわけではないため注意が必要です。
 

相続財産から控除できる葬式費用・控除できない費用

前述しましたが、相続税の計算上、すべての葬式関連費用を相続財産から控除できるわけではありません。国税庁の「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」をみると、以下のとおりとなっています。
 

1. 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときには、その両方にかかった費用が控除できます)
2. 遺体や遺骨の回送にかかった費用
3. 葬式の前後に生じた費用で通常葬式に欠かせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれに当たります)
4. 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
5. 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

 
また、相続財産から控除できないものは、以下のとおりとなっています。
 

1. 香典返しのためにかかった費用
2. 墓石や墓地の買い入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
3. 初七日などの法事のためにかかった費用

 
金額について一律の上限は示されていませんが、控除できるのは国税庁が示す葬式費用の範囲に該当するものです。
 

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預貯金から引き出すときの注意点

父親が亡くなると、預貯金の口座にあるお金を引き出すことができなくなります。預貯金口座からお金を引き出すときには、相続人全員の実印が押印された書類を含む必要書類を金融機関に提出する必要がありました。
 
しかし、すぐにすべての取引ができなくなると遺族の人が困るということから、2019年7月1日からは、一部のお金を引き出すことができるようになりました。
 
ひとつの金融機関から単独で引き出せる額は、「相続開始時の預貯金額の3分の1 × 払戻しを求める相続人の法定相続分」で計算した額で、同一金融機関ごとに150万円が上限となります。
 
今回のケースでは葬式代が180万円かかったとなっていますが、金融機関での仮払い制度を使ってひとりの相続人が単独で引き出せる額は、同一金融機関ごとに150万円が上限です。そのため、預貯金額や相続人の法定相続分によっては、180万円全額を単独で引き出せない可能性があります。
 
相続人が多く、預貯金がそれほど多くない場合には、上限の150万円よりも少額になることが考えられます。
 
また金融機関によって、手続き方法の違いもありますので、事前の確認を行いましょう。
 

まとめ

葬式費用などは、一定の費用に関しては相続税の計算上、相続財産から控除できます。ただし法要や香典返しなどの費用に関しては、控除の対象とならないものがあります。
 
また相続財産で現金が多くある場合には、すぐに使うことができるかもしれませんが、金融機関の口座に入っているお金に関しては、遺産分割の前に引き出すこともできるようになりました。ただし、一定の要件もあるので注意が必要です。
 
葬式などの準備は、故人の生前には行っていない人も多く、亡くなった後に慌てて手続きを行う人が多くなっていますが、事前の準備も必要なのではないでしょうか。
 

出典

国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
株式会社鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査
一般社団法人全国銀行協会 ご存知ですか? 遺産分割前の相続預金の払戻し制度
 
執筆者 : 吉野裕一
夢実現プランナー

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