先月父が急逝…。生前贈与として5年前から毎年「100万円」ずつ受け取っていましたが、年間「110万円」以下なら相続税は考えなくてよいのでしょうか?
しかし、贈与の方法や時期によっては、想定していなかった形で相続税の対象となるケースもあります。
そこで、生前贈与で父親が亡くなる5年前から毎年100万円ずつ贈与を受けていた方の例を基に、生前贈与と相続税について考えていきます。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
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年110万円以下なら「贈与税」はかからないのが基本
まず前提として、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら、原則として基礎控除の範囲内なので贈与税はかかりません。したがって、父親から毎年100万円ずつ受け取っていたのであれば、毎年の贈与税は基本的にかからないと考えてよいでしょう。
ただし、贈与税の負担を意図的に回避する目的で、毎年同じような額を同じような時期に贈与することを複数年にわたって行っていると、定期贈与(または連年贈与)として、500万円(年100万円の贈与を5年間続けたと想定)全体に贈与税が課税される可能性もあるため、注意が必要です。
相続税は別問題
ここで注意したいのが、贈与税はかからなかったからといって、相続税がかからないわけではないという点です。なぜなら、相続税と贈与税は別の税金だからです。
では、なぜ贈与税がかからなかった財産にも後々相続税がかかる可能性があるかというと、相続開始前7年間に得た贈与がある場合、それは相続税の算出に当たり組み入れるとされているからです。
ただし、令和6年1月1日以後の暦年課税による贈与については、相続税の課税価格に加算される贈与の対象期間が段階的に延長される予定です。国税庁によると、具体的な区分は次の通りです。
・相続開始日:~令和8年12月31日
相続開始前3年以内の贈与が加算対象。
・相続開始日:令和9年1月1日~令和12年12月31日
令和6年1月1日から相続開始日までの贈与が加算対象。
・相続開始日:令和13年1月1日~
相続開始前7年以内の贈与が加算対象。
また、加算対象となる期間内に取得した財産のうち、相続開始前 3 年以内に取得した財産以外の財産については、その合計額から総額 100万円までは相続税の課税価格に加算されません。これは「毎年 100万円」ではなく、「対象期間全体で 100万円まで」という扱いになります。
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相続税は必ずかかるとは限らない
もっとも、相続税はすべての人に課されるものではありません。基礎控除額の範囲内であれば課税対象とならないため、相続税を納める必要はありません。相続税の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
つまり、少なくとも3600万円を超えなければ、相続税は0円になるということです。法定相続人が 1 人の場合は基礎控除額が 3600万円なので、それ以下なら相続税は 0 円になりますが、2 人以上の場合はそれより高い金額まで非課税となります。
例えば、相続財産は2000万円のみという場合であれば、仮に7年以内に合計500万円分贈与を受けていたとしても、相続税はかからないということになるのです。
仮に相続税がかかったとしても、税率は法定相続分に応じた取得金額に応じて10%から55%までの超過累進税率となっています。取得した財産すべてに最高税率が適用されるわけではありません。
ただし、現時点で 500万円贈与を受けているとしても、相続財産の総額や法定相続人数によって相続税がかかる可能性はあるため、必ずしも「相続税については考えなくてもよい」とはいえません。
まとめ
父親から毎年100万円ずつの贈与を5年間にわたって受け取っていた場合、毎年の贈与税は基礎控除である110万円以下となっているため、定期贈与と判断されない限り贈与税はかからないでしょう。
ですが、だからといって相続税をまったく考えなくてよいわけではありません。贈与税がかかっていなくても、最大で過去7年以内の部分について相続税の課税価格に加算されることがあるからです。
相続や贈与に関する制度は私たちに身近なものですが、その内容は複雑で、状況によって取り扱いが異なる場合もあります。不明な点や判断に迷うことがあれば、住所地を管轄する税務署や税理士などの専門家へ相談すると安心です。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4155 相続税の税率
執筆者 : 柘植輝
行政書士

