一人暮らしを始めた娘から「奨学金の返済で生活が厳しい」と言われ、毎月「3万円」を援助することに。奨学金の返済を親が肩代わりすると、贈与税の対象になるのでしょうか?

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
一人暮らしを始めた娘から「奨学金の返済で生活が厳しい」と言われ、毎月「3万円」を援助することに。奨学金の返済を親が肩代わりすると、贈与税の対象になるのでしょうか?
一人暮らしを始めた子どもから「奨学金の返済が重く、生活が苦しい」と相談されると、毎月の生活費を援助したいと考える親もいるでしょう。しかし、お金を渡すことで「贈与税がかかるのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。
 
実は、親子間でのお金のやり取りでも、援助の目的や方法によって贈与税の取り扱いは異なります。
 
本記事では、奨学金返済の実態を紹介するとともに、親が返済を支援する場合に贈与税がかかるケースとかからないケースについて、分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

奨学金の返済は社会人になってからも長く続くケースが多い

奨学金は進学を支える大切な制度ですが、卒業後は返済が始まり、家計の負担になることも少なくありません。
 
労働者福祉中央協議会が2024年に実施した「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート報告書」によると、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金利用者のうち、「返済している」と回答した人は60.3%でした。「すでに返済が終わった」は16.4%、「返還猶予制度を利用中」は13.1%、「これから返済予定」は6.8%、「延滞中」は3.3%となっています。
 
年代別では30代までの約7割が返済中で、30代後半でも55.7%、40代前半でも42.5%が返済を続けています。奨学金は卒業後すぐに返し終えるものではなく、社会人になって何年も返済が続く人が多いことが分かります。
 
また、借入総額は平均344.9万円、中央値でも312.1万円となっており、多くの人が数百万円規模の返済を抱えています。返済の負担感については、「何とかなっている」が44.1%だった一方、「少し苦しい」が27.9%、「かなり苦しい」が16.3%で、合わせて44.3%が返済を負担に感じていました。「余裕がある」と回答した人は11.6%にとどまっています。
 
このような状況から、子どもから返済の相談を受け、親が援助を検討するケースは珍しくないと考えられます。
 

奨学金の返済を親が肩代わりするときは贈与税に注意

親が子どもの奨学金をまとめて返済したり、一括返済のための資金を子どもへ渡したりする場合は、贈与税の対象になる可能性があります。
 
奨学金は教育を受けるための借入ですが、卒業後の返済資金そのものは、「生活費」や「教育費」とは異なる性質のお金です。そのため、多額の返済資金を渡した場合は通常の贈与として扱われることがあります。
 
例えば、残っている奨学金300万円を返済するために親が300万円を子どもへ渡した場合、年間110万円の基礎控除を超える部分については、贈与税の課税対象になる可能性があります。また、親が日本学生支援機構へ直接返済した場合でも、実質的に子どもの債務を負担したと判断されれば、贈与とみなされる可能性があります。
 
まとまった金額を援助する予定がある場合は、事前に税務署や税理士へ相談すると安心でしょう。
 

毎月「3万円」の援助には贈与税はかかる?

一方で、子どもから「奨学金の返済で生活が苦しい」と相談され、毎月3万円ほど援助したいと考えた場合については、必ずしも贈与税がかかるわけではありません。
 
国税庁では、親子などの扶養義務者の間で、生活費や教育費として通常必要と認められるお金を、その都度必要な費用に充てるために渡す場合は、贈与税はかからないとしています。生活費には、家賃や食費、光熱費など日常生活に必要な費用が含まれます。
 
例えば、一人暮らしをしている娘の生活費を補う目的で毎月3万円を援助し、そのお金を実際に生活費へ充てるのであれば、通常は贈与税の対象にはならないと考えられます。その結果、子どもは給与などから奨学金を返済しやすくなります。
 
大切なのは、「生活に必要なお金を、その都度支援する」という点です。生活費として受け取ったお金を貯蓄したり、投資や住宅購入など別の目的に使ったりすると、非課税の対象と認められない可能性があるため注意しましょう。
 

まとめ

奨学金を一括で返済するためにまとまった資金を渡したり、多額の奨学金を親が肩代わりしたりする場合は、贈与税の対象となる可能性があります。
 
一方で、今回のように、親が毎月3万円を生活費として援助し、その都度、生活に必要な支出へ充てられているのであれば、一般的には贈与税を過度に心配する必要はありません。援助の方法によって税金の取り扱いが変わるため、「生活費としての援助なのか」「まとまった贈与なのか」を意識することが大切です。
 
子どもの将来を支えたいという親心は自然なものでしょう。税務上のルールを理解したうえで適切な方法を選ぶことで、不要な税負担を避けながら、安心して子どもの新生活や奨学金返済を支援することにつながります。
 

出典

労働者福祉中央協議会(中央労福協) 高等教育費や奨学金負担に関するアンケート報告書 2024年6月実施 第3章 奨学金制度の利用状況 4.貸与型奨学金の返済状況(89ページ)、5.借入総額(90ページ)、6.今後の返済に対する不安と現在の返済への負担感(2)現在の返済の負担感(94ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

LINE