親が遺した3000万円。「相続税はかからない」と聞きましたが、放置したらマズイ? 基礎控除のボーダーラインを教えてください。
本記事を読むことで、基礎控除額の計算方法や相続税がかかるかどうかの判断基準、相続税の申告・納付についてご理解いただけると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
相続税はどう計算するのか?
相続税は、以下の計算式により算出します。
相続税額=課税遺産総額×税率
課税遺産総額は、以下の計算式により算出します。
課税遺産総額=正味の遺産額-基礎控除額
この計算式において、課税遺産総額が「0円以下」、つまり正味の遺産額よりも基礎控除額のほうが大きければ、相続税はかかりません。
基礎控除額は、以下の計算式により算出します。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人の数が2人であれば基礎控除額は4200万円、3人であれば4800万円となります。法定相続人の数が1人でも基礎控除額は3600万円となりますので、正味の遺産額が3000万円であれば相続税はかかりません(3000万円-3600万円<0)。
ただし、正味の遺産額と遺産総額は異なります。正味の遺産額の算出については、図表1のとおりです。
図表1
出典:国税庁「No.4155 相続税の税率」
このように、正味の遺産額には遺産総額だけでなく、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産や相続開始前3年以内の贈与財産も加算されるため、これらの贈与財産がある場合には注意が必要です。
また、遺産総額には「本来の相続財産」だけでなく「みなし相続財産」が含まれることにも注意が必要です。みなし相続財産とは、死亡保険金や死亡退職金など、被相続人(亡くなった方)が相続発生時に所有していた財産ではないものの、その性質上、相続財産と見なされる財産のことです。
最終的には、以下の(1)の合計額よりも(2)の合計額のほうが大きければ相続税はかからないといえます。
(1)本来の相続財産+みなし相続財産+相続時精算課税の適用を受ける贈与財産+相続開始前3年以内の贈与財産
(2)非課税財産+葬式費用+債務+基礎控除額
相続税の申告・納付はどのように行うのか?
相続税の申告は、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合に行います。したがって、正味の遺産額が基礎控除額以下の場合、相続税を申告する必要はありません。ただし、相続税に係る特例を適用する場合は、相続税がかからなくても申告する必要があります。
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の死亡時における住所地を所轄する税務署長に対し、行わなければなりません。相続人の住所地を所轄する税務署長ではないので、注意が必要です。
相続税の納付は、原則として金銭一括で行わなければなりません。納付方法は、以下のとおりです。
・金融機関または税務署の窓口で納付
・電子納税
・クレジットカード納付
相続税の納付については、一定の要件を満たせば、延納や物納も認められます。延納や物納を希望する場合、申告期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。
まとめ
本記事では、「相続税はどう計算するのか?」「相続税の申告・納付はどのように行うのか?」について解説しました。ポイントをまとめると、以下のとおりです。
・相続税額=課税遺産総額×税率
・課税遺産総額(=正味の遺産額-基礎控除額)が0円以下であれば、相続税は課税されない
・基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
・相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の死亡時における住所地を所轄する税務署長に対し行う
・課税遺産総額が0円以下であれば、相続税の申告を行う必要はない(特例を適用する場合を除く)
・相続税の納付は、原則として金銭一括で行う
本記事を読むことで、相続税の理解が深まれば幸いです。
出典
国税庁 No.4155 相続税の税率
国税庁 相続税の申告のしかた(令和7年分用)
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー


