お盆の帰省で“実家の名義”が「30年前に亡くなった祖父」のままと判明! 父も兄も手を付けていませんが、2024年から「10万円以下の罰金」と聞きました。30年前の相続でも対象ですか?
結論から言うと、対象になります。しかも期限が迫っています。本記事では、なぜ昔の相続まで対象になるのかを整理し、登記にいくらかかるのかを確かめましょう。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
2024年4月から、相続登記は義務になった
相続により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました。
正当な理由がないのに申請を怠ったときは、10万円以下の過料の対象になります。施行されたのは2024年4月1日です。
この決まりができた背景には、持ち主の分からない土地が増えてきたことがあります。名義が何代も前のままだと、売ることも貸すことも、災害のときに手を入れることもできません。
30年前の相続でも対象。期限は2027年3月31日
気になるのは、義務化より前に起きた相続はどうなるのかという点でしょう。
法務省は、施行日より前に開始した相続によって不動産を取得した場合であっても、相続登記をしていない場合には申請義務化の対象になるとしています。
そのうえで、令和9年3月31日まで(不動産を相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降の場合は、その日から3年以内)に相続登記をする必要がある、と示しています。
令和9年3月31日は、西暦では2027年3月31日です。30年前の相続でも例外にはならず、この日が期限になります。父親も兄も手をつけていないなら、残された時間は多くありません。
登記にいくらかかる?
かかるお金は、登録免許税と、司法書士に依頼する場合の報酬です。
登録免許税は、相続による所有権の移転登記なら固定資産税評価額の0.4%です。実家の土地と建物の評価額が合わせて1200万円だとすると、次のようになります。
1200万円×0.4%=4万8000円
なお、土地には免税のしくみもあります。国税庁によると、令和9年3月31日までに相続による所有権の移転登記を受ける場合で、登録免許税の課税標準となる不動産の価額が100万円以下であるときは、登録免許税は課されません。
評価額80万円の土地なら、本来3200円かかる(80万円×0.4%=3200円)ところが0円になります。この免税の期限も2027年3月31日で、義務化の猶予期限と同じ日にあたります。
間に合わないときの「相続人申告登記」
30年前の相続となると、相続人が増えていて話し合いがまとまらないこともあります。そこで使えるのが、2024年4月1日に始まった相続人申告登記です。
法務省は、自らが登記簿上の所有者の相続人であること等を期限内に登記官に申し出ることで義務を履行できる制度で、特定の相続人が単独で申し出ることができる、と説明しています。
ほかの相続人の同意がなくても、1人で手続きできるのがよいところです。これで過料はさけられます。
ただし、これは所有権の登記ではありません。実家を売る、担保に入れるといった場面では、あらためて相続登記が必要です。あくまで期限に間に合わせるための手だてと考えましょう。
まとめ
相続登記は2024年4月1日から義務になりました。義務化より前の相続も対象です。祖父名義のままの実家は、2027年3月31日までに登記しないと10万円以下の過料の対象になります。
費用は、評価額1200万円で登録免許税4万8000円が目安です。話し合いがまとまらないときは、相続人申告登記で期限に間に合わせる方法があります。お盆に家族が集まるうちに、登記簿を確かめて話を始めるとよいでしょう。
出典
法務省 相続登記の申請義務化について
法務省 相続人申告登記について
国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士

