母(70代)が相続対策のつもりで1000万円ほどタンス預金していることが分かりました。「手元に置いておけば税務署にバレない」と言っているのですが、本当に税務署には把握されないのでしょうか?
今回は、タイトルのように、親が生前に誰かに渡していたお金の取扱い方について、確認していきましょう。
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
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親が生前に渡していたお金は取り返せる?
タイトルのように、親が生前に毎月誰かに5万円を渡していた場合、相続人は「取り返せるかもしれない」と考えるかもしれません。しかし、このお金がどういうものだったのかによって、判断が分かれます。
この5万円は、親が生前に、自分がお世話になった方や、お手伝いさん、介護してくれた人、知人、内縁関係の相手など、親が自分の意志で渡していた可能性があります。
もしも書面などで贈与の契約が締結されており、親が毎月5万円を誰かに生前贈与していた場合、履行済み分の贈与を取り消すことはできません。
また、何も書面などがない場合でも、親と受取人との間に贈与の合意があり、すでに振り込まれたお金は履行済みの贈与となるため、一般的に返還してもらうのは難しいケースが多いと考えられます。
お金を返還してもらえるケースとは?
ただし、例外として、以下のようなケースの場合、親が生前に振り込んでいたお金を返還してもらえる可能性があります。
・親の意思に関係なく、第三者が、キャッシュカードやネットバンキングを使って勝手にお金を送金していた。
・親が認知症などで判断能力がない状態だった。
・贈与ではなく、貸しているお金だった。そして後で返還する約束をしていた。
このようなケースでは、今まで親が生前に振り込んでいたお金は、戻ってくる可能性があります。まずは、この5万円が誰に、どのような経緯で毎月振り込まれていたかを確認する必要があります。
また、生前贈与によって一定の相続人の遺留分が侵害されている場合は、贈与そのものの返還ではなく、遺留分侵害額に相当する金銭を請求できる可能性があります。
具体的に必要な手続きをチェック
では、具体的に、親の死後に今まで知らなかったお金の動きがあった場合、どのような手続きをとったら良いのかチェックしていきましょう。
まずは、お金の動きを正確に把握しましょう。誰に、いつからいつまで、どのような経緯で、総額いくらが振り込まれていたかを確認します。確認するためには、通帳などの振込の明細履歴が分かるもの、振込先の名義人名、親のメモや手紙、メールなどが有効です。
また、親がお金を振り込んでいた期間の親の健康状態や、認知能力についても確認しておきましょう。誰か親がお世話になっていた人はいたか、介護や生活の援助を受けていたかなども把握しておくと良いでしょう。
そして、これらの情報から、毎月の5万円がどのような経緯で振り込まれていたかを明らかにして、返還可能か、返還が難しいかを判断することが大切です。
毎月5万円の振り込みの場合、1年で60万円、5年で300万円と、決して小さい金額ではありません。まずは詳細を明らかにするようにしましょう。
相続のトラブルは専門家への相談を
親の死亡により、相続手続きを行う必要がありますが、思わぬところでトラブルが起こる可能性があります。
今回のように、生前の定期的な振込が判明したり、誰か特定の人に生前贈与を行っていることが判明したりと、家族も知らなかった事実が分かるケースがあるでしょう。
どのように手続きをしたら良いのか分からない場合は、税理士や弁護士など、法律に詳しい専門家に相談することを検討しましょう。今回ご紹介したケースを参考にしながら、正しい情報をチェックし、不備がないように相続手続きを行うことが大切です。
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

