高齢の父の通院付き添いや買い物を、毎週2~3回続けています。兄は「近くに住んでるんだから当然」と言いますが、介護の負担は相続で考慮されるのでしょうか?
では、こうした親への介護や生活援助は、将来の相続でどのように扱われるのでしょうか。本記事では、親の介護や生活援助を担ってきた場合に「寄与分」が認められる可能性や、相続時のトラブルを避けるために事前に確認しておきたいポイントについて解説します。
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目次
週2~3回の買い物や通院付き添いだけでは「寄与分」が認められにくい理由
親の通院付き添いや買い物を毎週2~3回続けている場合、相応の時間や労力を要することになります。しかし、民法上の「寄与分」が認められるには一定の要件を満たす必要があります。
民法では直系血族間の互助義務が定められており、週2~3回程度の生活援助は親族間の助け合いの範囲内と判断されやすいのが実情です。
法定相続分を超えて遺産を受け取る「寄与分」が認められるには、単に親の介護をしていたというだけでなく、通常期待される家族間の扶養の範囲を超えた特別な貢献によって、親の財産の維持や増加に寄与したことなどが重要になります。
例えば、無償で継続的に介護を行ったことで、本来必要だった介護サービスなどの費用が抑えられ、親の財産の維持につながったケースなどが考えられます。
買い物の代行や通院の付き添いなどを行っていた場合でも、それだけで寄与分が認められるとは限りません。他の相続人との協議で合意できない場合は、家庭裁判所の調停などで、貢献の内容や程度を踏まえて判断されることになります。
「特別の寄与」と認められた場合、寄与分はどのように計算する?
もし要介護状態の親を日常的に介護し「特別の寄与」が認められた場合、その評価はお金に換算して計算されます。基本的な寄与分額の算出式は次のとおりです。
「介護報酬に相当する日額×従事日数×医療プロとの差を考慮した割合」
例えば、介護事業者の日額換算を8000円とし、1年間で300日、貢献割合を0.7として試算すると、8000円×300日×0.7=168万円が寄与分額の目安となります。
ただし、こうした請求を行うには、介護日記や付き添い記録、かかった費用や日数の詳細な証拠を残しておくことが不可欠です。
介護の負担を考慮した財産配分には「生前贈与」や遺言書も選択肢
相続発生後に寄与分を主張して兄弟姉妹間で揉めることを避けるためには、親が存命のうちにお金に関する対策を進めておくことも有効です。
1つ目の方法は、暦年課税制度を利用した生前贈与です。贈与税の非課税枠である年間110万円までの範囲を活用し、介護や世話の対価として親から定額の資金を受け取っておくことで、将来の相続財産とは別で手元にお金を残せます。
2つ目の方法は、親に遺言書を作成してもらうことです。「介護の負担を考慮し、特定の子どもに多くの財産を譲る」という旨を遺言に残してもらえば、寄与分の認定に関わらず優先的に財産を取得できるでしょう。
ただし、他の相続人の「遺留分」を侵害すると、相続時にトラブルとなる可能性があります。そのため、遺留分にも配慮した財産配分を遺言書に定めてもらうことが大切です。
兄弟姉妹との相続トラブルを防ぎ介護負担を正当に評価してもらうための解決策
親の通院や買い物の付き添いという負担は、親族間で通常期待される助け合いとみなされやすく、そのままでは将来の相続で寄与分として認められる可能性は低いと考えられます。
兄弟姉妹から「近くにいるから当然」と考えられている場合でも、介護や生活援助の負担を曖昧にせず、日頃から付き添いにかかった交通費や購入品の領収書、日数などを詳細に記録し、早めに家族で話し合っておくことが大切です。
負担を1人で抱え込まず、将来の相続時に介護や生活援助の貢献を適切に考慮してもらえるよう、今から記録や話し合いなどの準備を進めておくとよいでしょう。
出典
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第四編 親族 第七章 扶養(扶養義務者)第八百七十七条、第五編 相続 第三章 相続の効力 第二節 相続分 (寄与分)第九百四条の二
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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