父のNISA口座に「4000万円」あります。亡くなった後、そのまま自分のNISA口座へ移せば「非課税」のまま相続できるのでしょうか?
父が亡くなった時点までにNISA口座で生じた利益には非課税の扱いがありますが、相続した商品は原則として相続人の特定口座や一般口座へ移されます。また、NISAだからといって相続税まで非課税になるわけではない点にも注意が必要です。
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父のNISA商品を自分のNISAへ直接移すことはできない
日本証券業協会は、亡くなった人のNISA口座にある上場株式などを、相続人のNISA口座へ受け入れることはできないと明確に案内しています。
相続した株式や投資信託は、原則として相続人の特定口座または一般口座で受け取ります。
たとえば、父のNISA口座に投資信託4000万円分があり、自分にもNISA口座があったとしても、「父のNISAから自分のNISAへ4000万円分を移管する」という処理はできません。
なお、「NISAは1800万円までなのに、なぜ4000万円あるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。
現在のNISAの非課税保有限度額1800万円は、時価ではなく原則として買付額を基準に管理されます。たとえば1800万円で買った商品が値上がりして4000万円になっても、それだけでNISAから外れるわけではありません。
また、2023年までの旧NISAで保有する商品は、現在の1800万円の枠とは別に管理されます。したがって、NISA関連資産の時価が4000万円あるケース自体はあり得ます。
亡くなった日までの値上がり益にはNISAの非課税が反映される
父のNISA口座で保有していた商品を相続する場合、相続人が受け取る商品の取得日は相続が発生した日となり、取得価額は原則としてその日の時価となります。
たとえば、父が1000万円で購入した株式が、亡くなった日に2500万円になっていたとします。
父が生きている間にNISA内で生じた1500万円の値上がりについて、相続人が後から所得税・住民税を払うために1000万円の取得価額をそのまま引き継ぐ仕組みではありません。相続後は、死亡日の時価2500万円を取得価額として受け取る形になります。
その後、相続人が課税口座で3000万円まで値上がりした時点で売却すれば、原則として相続後の値上がり分(500万円)が所得税・住民税の計算対象となります。
つまり、「亡くなった瞬間に過去のNISA利益へ税金がかかる」というわけではありません。しかし、相続後も永遠に非課税が続くわけでもありません。
父が亡くなった場合、相続人はNISAを開設している金融機関へ「非課税口座開設者死亡届出書」を遅滞なく提出する必要があります。
NISAでも相続税まで非課税になるわけではない
NISAの「非課税」は、口座内の商品から得られる配当や売却益などに関する制度です。相続税を免除する制度ではありません。
そのため、父のNISA口座に4000万円相当の金融商品があるなら、ほかの預金、不動産、生命保険などと合わせて相続税の対象になるかを確認します。それらの総額が、基礎控除額である「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超えるなら、相続税の申告と納税が必要になります。
「NISAだから4000万円を税金なしでそのまま受け取れる」という理解は避けましょう。
相続後に自分のNISAで運用したい場合は、課税口座で受け取った商品をそのまま移すことはできません。一度売却し、NISAで対象商品を新たに購入する方法を検討することになります。
現在の18歳以上のNISAは年間投資枠が最大360万円、非課税保有限度額が1800万円です。そのため4000万円分を一度にNISAへ入れ直すこともできません。相続後すぐに全部売却する必要もないため、資産の内容や今後使う予定を見ながら整理しましょう。
まとめ
父のNISA口座に4000万円あっても、亡くなった後にその商品を相続人のNISA口座へ直接移し、非課税状態をそのまま引き継ぐことはできません。
相続した株式や投資信託は、原則として特定口座または一般口座へ移されます。父が亡くなった日までのNISA内の利益は非課税の扱いが反映されますが、その後に生じる値上がり益などは課税対象になり得ます。
また、NISAは相続税を非課税にする制度ではありません。4000万円を含む父の遺産全体を確認し、相続税の申告が必要かを判断することも重要です。父が亡くなったら、まず証券会社へ連絡し、死亡届と相続手続きを進めたうえで、今後NISAで運用し直す資産を検討しましょう。
出典
日本証券業協会 2024年以降のNISAに関するQ&A
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

