66歳から「毎年50万円」を“生前贈与”してくれた父が72歳で死亡…これまでの「7年分・350万円」は“年110万円以内”だったのに、相続税の対象になると聞き驚き!「税金対策」のはずがナゼ? 注意点を解説

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66歳から「毎年50万円」を“生前贈与”してくれた父が72歳で死亡…これまでの「7年分・350万円」は“年110万円以内”だったのに、相続税の対象になると聞き驚き!「税金対策」のはずがナゼ? 注意点を解説
相続税対策として、贈与の活用を検討するケースがあります。贈与にはいくつかの制度がありますが、年間110万円の基礎控除がある「暦年課税」の利用を検討する人もいるでしょう。
 
しかし、贈与税と相続税は別の制度であり、一定期間内に行われた生前贈与は相続税の計算に含まれることがあるため、注意が必要です。
 
本記事では、生前贈与分が年110万円以下でも安心とはいえない理由や、相続税の対象になる年数など、注意しておきたいポイントを解説します。
東雲悠太

FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

贈与税がかからなくても相続税が課税される?

66歳から毎年50万円ずつ贈与を受け、72歳で父親が亡くなり、7年間で計350万円を受け取ったケースを例に見てみましょう。
 
贈与は、暦年課税では1年間(1月1日~12月31日)に受けた贈与額の合計が110万円以下であれば、原則として贈与税はかかりません。そのため、毎年50万円の贈与であれば、通常は贈与税の申告や納税は不要です。
 
しかし、贈与税と相続税は別の制度であり、贈与税がかからなくても、相続開始前に行われた一定の贈与は、相続税の課税価格に加算されます。加算対象期間は、相続開始日によって、以下の通り段階的に延長されていきます。


・2026年12月31日まで:相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)
・2027年1月1日~2030年12月31日:2024年1月1日から死亡の日までの間
・2031年1月1日以降:相続開始前7年以内(死亡の日からさかのぼって7年前の日から死亡の日までの間)

今回のケースでは、2026年8月現在に発生した相続に対しては、7年間で受け取った350万円全額ではなく、相続開始前の3年間にあたる150万円が相続税の計算対象です。
 
早めに贈与を開始したことで、相続開始前3年を超える期間に受けた贈与は、相続税の加算対象外となりました。一方、今後は相続開始日によって加算対象期間が段階的に延長されることに注意が必要です。
 

生前贈与を急いで始めたほうが良い?

相続税対策を目的とした生前贈与を、全ての家庭で急いで始める必要があるとは言い切れません。相続税には基礎控除があり、控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
 
また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、状況によってはさらに税負担を軽減できる制度が適用される場合もあります。こうした基礎控除や各種制度によって、控除の範囲内に収まり、そもそも相続税がかからないケースもあります。
 
また、生前贈与を行いすぎることで、自身の老後資金が不足する可能性があることにも注意が必要です。今後の生活費や医療費、介護費用なども見据え、まずは自身の生活資金を確保したうえで、無理のない範囲で生前贈与を行うことが大切です。
 

贈与税と相続税のそれぞれの仕組みを理解しよう

年間110万円以下の贈与は、原則として贈与税がかかりません。しかし、贈与税がかからなくても、相続開始前に行われた一定の贈与は、相続税の計算対象となり、課税価格に加算される場合があります。加算対象となる期間は、段階的に延長されます。
 
2026年に発生する相続は、相続開始前3年分が計算対象ですが、将来的には7年分となるため注意が必要です。
 
一方、相続税には基礎控除や特例的な軽減の仕組みがあり、全ての相続で相続税がかかるわけではないので、急いで贈与する必要があるとは限りません。
 
「年間110万円までの贈与なら安心」と考えるのではなく、贈与税と相続税の仕組みを理解したうえで、自身の資産状況などに合わせて、生前贈与が必要かどうかを考えましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
 
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

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