築30年の自宅をリフォームすることに。妻の独身時代の貯金「600万円」も充てたいのですが、妻は「結婚前に貯めたお金だから使いたくない」と反対…。夫婦の住まいでも負担を求めることはできないのでしょうか?

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築30年の自宅をリフォームすることに。妻の独身時代の貯金「600万円」も充てたいのですが、妻は「結婚前に貯めたお金だから使いたくない」と反対…。夫婦の住まいでも負担を求めることはできないのでしょうか?
自宅をリフォームする際、配偶者が独身時代に貯めたお金を費用に充てることを考えるケースもあるでしょう。ただし、相手の了承を得ていても、リフォーム代を負担する方法によっては税務上の贈与に当たり、贈与税が発生する可能性があるため注意が必要です。
 
本記事では、リフォーム費用の負担をめぐる法的な考え方に加え、贈与税がかかるケースや、税負担を考えるうえで確認しておきたいポイントについて解説します。
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結婚前の貯金600万円は「特有財産」として扱われる

自宅のリフォームにあたり、妻が独身時代に貯めた600万円を使ってもらいたいと考えても、法律上原則として、妻がその費用を負担しなければならないわけではありません。結婚前に各自が築いた財産は「特有財産」とされており、結婚後も夫婦の一方が単独で所有する財産として扱われます。
 
たとえ夫婦が共に暮らす住まいの維持管理費用であっても、原則として相手の同意なしに特有財産そのものを取り崩して拠出させることを強制する請求権は認められにくいと考えられます。
 
独身時代の貯金は、基本的に夫婦共有の財産とは区別されます。そのため、妻が拠出を拒否している場合、夫が一方的に資金の拠出を強制することは難しいでしょう。無理に要求すると夫婦関係の悪化を招くおそれがあるため注意が必要です。
 
ただし、自宅の名義やリフォームの性質、婚姻費用(生活費)の分担の考え方によっては、一定の負担が検討される場合もあります。
 

民法第762条と第760条が示す「夫婦の財産区分」と「生活費用の分担義務」

夫婦間の財産や費用の負担については、民法における2つの規定を正しく理解しましょう。
 
1つ目は、婚姻前から有する財産や、婚姻中に自己の名で得た財産(相続・贈与による財産を含む)を、一方の個人所有(特有財産)とする「民法第762条(夫婦間における財産の帰属)」です。2つ目は、夫婦が収入や資産その他一切の事情を考慮して、衣食住などの「婚姻から生ずる費用」を分担する「民法第760条(婚姻費用の分担)」です。
 
民法第760条により、日常生活に必要な住居費用も「婚姻から生ずる費用」の一環として、夫婦が負担する義務があると考えられます。
 
しかし、この義務は原則として現在の収入や婚姻生活中の家計から支払うものであり、特段の事情がない限り、独身時代の「特有財産」を強制的に切り崩してまで支払う義務を負うとは限りません。築30年の自宅のリフォーム費用についても、基本的には現在の家計や婚姻生活中に形成された財産から捻出することが実務上の基本的な考え方となります。
 

妻の貯金600万円をリフォーム費用に充てる際に確認しておきたいポイント

もし妻と十分に話し合い、妻が納得して600万円を拠出することになった場合は、資金の出し方に注意しなければなりません。夫の単独名義になっている自宅のリフォーム費用として妻が600万円を支払うと、税務上は夫への「贈与」とみなされ、贈与税が課税されるリスクがあります。
 
夫名義の不動産のリフォームに妻が資金を出す場合は、贈与税の問題を避けるため、費用の負担額に応じて妻の持分を設定し、登記に反映する方法が考えられます。リフォーム費用の負担額などを踏まえて妻の持分を設定し、その内容を登記に反映することで、夫への贈与とみなされる金額を抑えられる場合があります。
 
あるいは、夫が妻から600万円を借り入れる形にして金銭消費貸借契約書を作成し、現実的な返済計画に基づき返済していく方法も有効です。資金を出す妻の権利を保全する工夫を取り入れることが合意への鍵となります。
 

特有財産600万円の無理な拠出請求は避け、夫婦で納得できる資金計画を立てよう

築30年の自宅をリフォームするにあたり、妻の独身時代の貯金600万円を費用に充てることを考えるケースもあるかもしれませんが、独身時代に形成した貯金は原則として妻の特有財産であるため、夫がリフォーム費用の負担を一方的に求めることはできません。
 
夫婦には生活費を分担する義務がありますが、そのことを理由に、独身時代に形成した一方の特有財産から費用を負担しなければならないわけではありません。
 
妻の貯金だけを前提とせず、夫婦で築いた貯蓄やローン、利用できる補助制度なども含め、無理のないリフォーム資金の準備方法を検討するとよいでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第四編 親族 第二章 婚姻 第三節 夫婦財産制 第二款 法定財産制(婚姻費用の分担)第七百六十条、(夫婦間における財産の帰属)第七百六十二条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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