両親が私名義で貯めていた「児童手当350万円」を、結婚を機に渡してくれました。口座は昔から私名義ですし、もともと私のために貯めていたお金なのですが、今受け取ると「贈与」になるのでしょうか?
特に児童手当は、原則として子ども本人ではなく、子どもを養育する親などへ支給される制度です。両親が資金を出し、通帳や暗証番号も管理していて、結婚を機に初めて自由に使えるようになったのであれば、その時点で贈与を受けたと判断される可能性があります。
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目次
児童手当は子ども名義の口座に直接支給される制度ではない
こども家庭庁によると、児童手当の振込口座は原則として手当を受け取る人本人の名義でなければならず、子ども名義の口座へ直接振り込むことはできません。
同庁は、児童手当について、「国内に住所を有する児童(0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子をいいます。)を養育している方に支給されます」と明記しています。つまり、児童手当は、子どもを養育する親などへ支給される制度です。
そのため、両親が児童手当を受け取り、その後で同額を子ども名義の銀行口座へ移して貯めていたとしても、「児童手当だから最初から法律上すべて子どもの財産だった」と単純に判断することはできません。
税務上は、誰がお金を出したのか、誰が通帳や印鑑を管理していたのか、名義人本人が預金の存在を知っていたか、自由に引き出して使えたか、といった実態が重要になります。
実際、国税庁の税務大学校が紹介する事例でも、子ども名義の預金であっても、資金を出した親などが通帳や印鑑を管理し、名義人が自由に処分できない状態なら、名義人本人の財産とは認められなかった裁決事例があります。
そのため、「口座名義が私だから大丈夫」と名義だけで判断するのは避けましょう。
結婚時に初めて自由に使えるようになったなら贈与になる可能性がある
たとえば、両親が子どもの出生後に口座を作り、18年間にわたり350万円を貯めたとします。
本人は口座の存在を詳しく知らず、通帳やキャッシュカードも両親が保管していました。そして結婚するときに初めて「これはあなたのお金だから自由に使っていい」と通帳とカードを渡された場合です。
このようなケースでは、過去に350万円の贈与がすでに終わっていたのではなく、結婚時に初めて350万円の財産を取得したと判断される可能性があります。
反対に、以前から両親が明確に贈与する意思を示し、自分もそれを受け入れ、実際に自分の財産として管理できていたのであれば、結婚時に通帳を受け取っただけで新たな贈与が生じるとは限りません。その場合は、過去の各年に贈与が成立していたかを確認することになります。
重要なのは、「いつ口座を作ったか」ではなく、「いつ自分の財産になったか」です。
350万円を今まとめてもらったなら贈与税26万円になる例もある
仮に、結婚した年に両親から350万円の贈与を受けたと判断され、暦年課税を利用するとします。
暦年課税には年間110万円の基礎控除があります。その年の1月1日から12月31日までの1年間にほかの贈与がなければ、350万円から110万円を引いた240万円が基礎控除後の課税価格です。
贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上で、父母など直系尊属から贈与を受けた場合は特例税率を利用できます。240万円なら税率15%、控除額10万円なので、単純計算では贈与税は26万円です。
ただし、これは「350万円全額を今贈与された」と判断された場合の一例です。
過去に毎年別々の贈与が成立しており、各年の贈与額が110万円以下だったのであれば、結果は変わります。また、今後の生活に必要な通常の費用を両親がその都度負担するケースと、自由に使える350万円をまとめて渡すケースは同じではありません。
なお、結婚・子育て資金の一括贈与特例を使うなら「通帳を受け取る前(資金を受け取る前)」に手続きを済ませるのが原則です。親や祖父母からの一括贈与について、最大1000万円、結婚に関する費用(挙式費用や結婚に伴う転居費用など)であれば300万円を限度として、贈与税が非課税となる特例です。
すでに通帳が手元にある場合は、税額だけ先に決めず、口座を作った経緯や管理状況を整理しましょう。
まとめ
両親が自分名義で貯めていた児童手当350万円は、「昔から自分名義の口座だった」という理由だけで、自動的に最初から自分の財産だったとは判断できません。
両親が資金を出し、口座を管理し、自分が自由に使えなかったのであれば、結婚を機に通帳などを渡された時点で贈与が成立したと判断される可能性があります。
一方、過去に贈与がきちんと成立し、自分の財産として管理されていたなら、今回の引き渡しが新たな贈与にならないケースもあります。
まず、児童手当を誰が受け取り、いつ子ども名義口座へ移したのか、通帳や暗証番号を誰が管理していたのかを確認しましょう。350万円は税額にも影響する金額なので、判断が難しければ税務署や税理士へ経緯を具体的に説明して確認すると安心です。
出典
こども家庭庁 児童手当
国税庁 税大ジャーナル 29 2018.4
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
