相場300万円以上の「GR86」を、おじから“100万円”で譲ってもらう息子。「お互い納得しているから問題ない」と言いますが、身内での“格安売買”は後で税金トラブルになりますか?
しかし、税金のルールでは、「当事者同士が納得している」というだけでは済まされないケースがあります。安易に相場とかけ離れた価格で売買すると、後になって想定外の贈与税が発生する可能性もあるのです。
本記事では、親族間で自動車を格安で売買した場合に贈与とみなされる可能性がある仕組みを整理し、適正な価格を設定するための考え方や、名義変更・契約書などの注意点を解説します。
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親族間の格安売買で生じる可能性のある税務上のリスク
親族間などで、本来の価値と比べて著しく低い金額で財産を譲り受けた場合、その差額について贈与があったとみなされ、贈与税の対象となる可能性があります。いわゆる「みなし贈与」です。
差額が贈与とみなされる可能性がある
例えば、GR86の時価が300万円程度であるにもかかわらず、おじから100万円で購入したとします。この場合、単純に考えると時価と売買価格との差額は200万円です。この差額は税務上、贈与があったとみなされる可能性があります。
贈与税には、暦年課税の場合、1年間に受けた贈与は110万円の基礎控除があります。ただし、これは「この車の差額だけが110万円以下なら贈与税がかからない」という意味ではありません。
同じ年にほかの人からも贈与を受けている場合には、それらを合算して判断する必要があります。
また、親族間の売買で「著しく低い価額」に当たるかどうかは、単純に時価との差額だけで決まるわけではなく、個々の具体的事案に基づき判定されます。
そのため、「差額が110万円以内なら問題ない」と考えるのは避けたほうが良いでしょう。
名義変更によって車の所有者が変わった記録が残る
「家族間のやり取りなら、申告しなければ分からないのでは」と考える人もいるかもしれません。
しかし、自動車を譲り受ける場合には、原則として所有者の変更にともなう移転登録などの手続きが必要です。誰から誰へ車の所有権が移ったのかという記録が残るため、親族間であっても適切な手続きをする必要があります。
特に、価値のある自動車が著しく低い価格で譲渡されている場合には、売買なのか、実質的な贈与なのかを説明できるよう、取引の経緯や価格の根拠を整理しておくと安心です。
「適正な時価」を把握するための具体的な方法
おじからの厚意を受けながら、後々の税務上のトラブルを避けるためには、売買価格をどのように決めたのか、客観的に説明できるようにしておくことが重要です。
複数の買取業者に査定を依頼する
まずは、複数の中古車買取業者に査定を依頼し、同程度の車両がどのくらいの価格で評価されるのかを確認してみましょう。中古車の価格は、年式や走行距離、グレード、修復歴、車両の状態などによって大きく変わります。
そのため、インターネット上の販売価格だけを見て「この車は300万円が相場」と判断するのではなく、実際の車両で複数の査定結果を取得しておくことが有効です。
査定書などを保管しておけば、なぜその価格で売買したのかを説明する際の資料にもなります。
ただし、査定額がそのまま税務上の「時価」と認められるとは限りません。売買価格を決める際には、複数の査定結果に加え、市場価格や車両の状態なども含めて総合的な判断が大切です。
売買契約書を作成し、代金の支払い記録を残す
個人間の売買であっても、「自動車売買契約書」を作成し、双方が署名し、保管することをおすすめします。契約書には、車両の情報、売買価格、売買日、代金の支払方法などを明記しておきましょう。
また、代金は現金で手渡しするより、銀行振込など記録が残る方法で支払うほうが安心です。「いつ、いくらで売買し、実際に代金が支払われた」という事実を客観的に確認できます。
さらに、車両の査定結果や売買価格を決めた経緯なども一緒に保管しておけば、税務署から取引の確認を受けた場合にも説明しやすくなるでしょう。
当事者の納得だけでなく、価格の根拠を明確に
親族間での車の売買は、当事者同士が納得していれば自由に価格を決められるわけではありません。著しく低い価格で財産を譲り受けた場合には、その差額は贈与とみなされ、贈与税の対象となる可能性があります。
特に「親族だから安くしてあげる」という取引では、売買なのか贈与なのかが曖昧になりやすいため注意が必要です。
GR86を格安で譲ってもらう場合は、まず複数の買取業者などから査定を受け、車両の市場価値を把握しましょう。そのうえで、売買価格を決めた根拠を残し、売買契約書の作成や銀行振込など、実際に売買が行われたことを確認できる記録も保管しておくことが大切です。
出典
国税庁 No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 No.4410 複数の人から贈与を受けたとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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