亡くなった父のNISAには、配当金が年間「60万円」入る株が残されていました。兄は「そのまま相続すれば非課税」と言いますが、本当でしょうか?
一方で、NISA口座を利用している人が亡くなった場合、保有していた金融商品の非課税扱いがどうなるのかについては、詳しく知らない人もいるでしょう。
そこで今回の記事では、故人のNISAを相続する際の相続税について考えてみます。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
NISA口座そのものは相続の対象ではない
そもそもNISAとは、口座を持っている本人が、そのNISA口座内で株や投資信託を保有している間、配当金や売却益が非課税になる制度です。
ただし、NISA口座は、開設した本人のものであり、故人(以降父親が故人であるとして話を進めます)の口座をその相続人がそのまま使い続けられるわけではありません。
具体的にいうと、父親の死亡後、父親のNISA口座はその中にある金融商品が一度払い出され、相続人の特定口座や一般口座など、金融資産を保有するための口座に移されることになります。
なお、このとき相続人がNISA口座を持っていたとしても、相続人のNISA口座に移すことはできないという点には注意が必要です。
NISA口座に入っている金融商品は相続対象
では、NISA口座内の金融商品を相続するときに相続税はどうなるのでしょうか。結論からいえば、NISA口座に入っていた金融商品であっても、相続税の対象となります。
具体的にいうと、父親が亡くなった時点で、その株がいくらの価値を持っていたのかを評価し、預貯金や不動産など他の財産と合わせて相続税を考えることになります。
とはいえ、相続税はそうそうかかるものでもありません。相続税は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算した額まで非課税であるためです。少なくとも相続人が自分1人だけの場合、相続財産が基礎控除額の3600万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。
また、兄弟2人が相続するのであれば4200万円まで、そこに母親も加われば4800万円まで非課税となるため、一般的な家庭であれば、故人がNISAをしていてある程度大きな額の利益を得ていたとしても、実際には相続税が非課税であることも珍しくはありません。
相続後の配当金は課税される
NISA口座で保有している金融商品について、口座の名義人が亡くなるまでに受け取った配当金などは、NISAの非課税措置の対象となります。
しかし、先に述べたように、金融商品は相続すると故人のNISA口座から相続人の特定口座などへ入るため、そこから得られる配当金は課税対象です。その際は年間60万円の配当金であっても全額が課税対象です。
参考までに、現在金融商品から得られる利益への税率は原則として約20%です。年間で60万円の配当金を得るのであれば、そこにかかる税金はおよそ12万円となります。
したがって、実質的な利益は48万円くらいになると考えてよさそうです。
まとめ
亡くなった父親のNISA口座に、年間60万円の配当金が入る株が残されていても、相続人が非課税のまま引き継げるわけではありません。
そのため、株自体にも基礎控除を超える部分には相続税がかかりますし、相続後に受け取る年間60万円の配当金には、通常どおり約20%の税金もかかります。
とはいえ、NISAや相続税、その後の配当金への税金など金融商品にかかる税金は多くの方が不安に感じるでしょう。判断に迷う場合は、税務署や税理士などの専門家へご相談ください。
執筆者 : 柘植輝
行政書士
