更新日: 2020.10.16 贈与

贈与財産が相続財産になることもある生前贈与加算って?その注意点とは?

執筆者 : 中田真

贈与財産が相続財産になることもある生前贈与加算って?その注意点とは?
相続税は、遺産総額が多くなるほど税率が高くなることから、相続税対策などの目的で、配偶者や子どもなどに財産を生前に贈与して、相続財産を減らすことで、納付する相続税を少なくするという方法があります。
 
しかし、生前贈与のタイミングなどによっては、その贈与財産も相続財産に加えることになる生前贈与加算というものがあります。
 
今回は、贈与財産を相続財産に加えることになる生前贈与加算とその注意点などについて解説します。

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中田真

執筆者:中田真(なかだ まこと)

CFP(R)認定者、終活アドバイザー

中田FP事務所 代表

NPO法人ら・し・さ 正会員
株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師

給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP(R)資格を取得。
現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。
https://nakada-fp.com/

生前贈与加算とは

生前贈与加算とは、相続や遺贈によって財産を取得した人が、相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に、被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与財産も相続財産に加えることになります。
 
ただし、生前贈与加算は、相続や遺贈で財産を取得した人だけが対象となりますので、被相続人の財産を、配偶者と子どもだけで相続したケースで、孫が相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けていても、孫は相続や遺贈で財産を取得していないため、その贈与財産は相続財産には加えないことになります。

生前贈与加算の主な注意点

生前贈与加算の主な注意点は、以下のとおりとなります。
 
(1)贈与税の申告の有無に関係なく(贈与税がかかっていたかどうかに関係なく)、贈与財産は相続財産に加えられます。
(生前贈与時に贈与税を納付していた場合は、相続税から控除することができます。)
 
(2)相続や遺贈で財産を取得していない人が取得した贈与財産については、生前贈与加算の対象外となります。
 
(3)相続財産に加算される贈与財産は、贈与時の価額となります。

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贈与税が非課税になる主な制度

基礎控除や配偶者控除などの控除以外にも、一定の要件などを満たす場合は、贈与税が非課税になる制度があります。贈与税が非課税になる主な制度については、以下のとおりとなります。
 

(1)住宅取得等資金の贈与税の非課税(2021年12月31日まで)

一定の要件を満たす人(20歳以上の子・孫など)が、父母や祖父母などの直系尊属から住宅の購入資金や増改築のための資金の贈与を受けた場合、住宅の種類などにより、一定額まで贈与税が非課税となる制度です。
 

(2)教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税(2021年12月31日まで)

30歳未満の子・孫の教育資金に充てるために、直系尊属(父母・祖父母など)が金銭等で拠出し、金融機関に信託などをした場合、受贈者1人につき1500万円まで贈与税が非課税となる制度です。
 

(3)結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税(2021年12月31日まで)

20歳以上50歳未満の子・孫の結婚・子育て資金に充てるために、直系尊属(父母・祖父母など)が金融機関に開設した子・孫名義の結婚・子育て資金口座に金銭等を拠出した場合、受贈者1人につき1000万円まで贈与税が非課税となる制度です。

まとめ

相続税対策などの目的で、配偶者や子どもなどに財産を生前に贈与をしても、生前贈与加算により、相続税対策にならないこともありますので、生前贈与のタイミングや贈与額などについては、注意する必要があります。
 
また、贈与税が非課税になる制度もありますので、一定の要件などを満たす場合は、選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
 
[出典]
国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除」
国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」
国税庁「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」
 
執筆者:中田真
CFP(R)認定者、終活アドバイザー