けがで通院した人は要確認! きちんと保険金を請求していますか?
配信日: 2019.08.25 更新日: 2021.06.22
保険会社に請求すれば保険金を受け取れるけれど、請求の手続きをしていないために受け取れないでいる未請求案件が結構多いのでは、と筆者は推測しています。
受け取れる権利があるのに、もらわないのはもったいない。今回はけがの通院を例にとってみてみます。
執筆者:田中栄二(たなか えいじ)
AFP認定者
2級DCプランナー
確定拠出年金相談ねっと 認定FP
福岡でのテニスコーチ業で、個々に適した伝え方や問題解決の基礎を学ぶ。その後「保険業は困ったときにこそ必ず人の役に立てる」と誘われ保険代理店の道へ。複数の保険会社・証券会社を取扱う会社に所属し、保障から資産運用までサポートしている。20年の保険業務と15年の証券業務の経験を持つ。「幸せな楽しい老後を送るための資金準備をしませんか?」の思いを伝えるべく確定拠出年金を活用した老後資金作りの相談やサポート業務、資産形成セミナーも行っている。
けがの保険(傷害保険)
傷害保険はけが専用の保険です。対象となるけがとは「急激・偶然・外来の事故」により負傷した時です。
1日目の通院から保険金が受け取れるという内容のものがほとんどです(部位や症状別により一時金を出すタイプや、実際にかかった費用を補償する商品もあります)。言い換えると、1日通院しただけでも請求ができるわけです。
通院すると1日につき2000円を受け取れる契約であれば、2000円×通院日数が受け取れます。
では、皆さんにお聞きします。
傷害保険に加入していて、けがで1日だけ通院をしたとします。保険の請求をしますか? または、今まで請求したことがありましたか?
請求しない、以前も請求していないと答えた方によくある誤解が「病院に払う診断書代が高く、あまりメリットを感じないため」というものがあります。
確かに受け取る保険金が2000円で診断書代が5400円なら損をしますので、当然請求しないほうがいいと考えてしまいますよね。しかし、ほとんどの保険会社では受け取る保険金が10万円未満であれば診断書はいらないのです。
10万円未満ということは、仮に通院1日2000円を受け取れる保険であれば、49日の通院までは診断書は取らなくて良いということです。
先日「4日間通院したけど診断書が必要だから請求しなかった」と話している方がいらっしゃったので、保険会社に確認するよう勧めたところ、診断書は不要で請求して保険金を受け取れたということもありました。
また、単純に「面倒くさい」という意見もあるでしょう。
保険金を請求する際の流れとしては
・まず保険会社(代理店)に事故状況を報告します。
・報告後に保険金を請求するための書類が郵送されます。
その書類に記入する項目としては
●住所・氏名・連絡先など
●保険金を受け取る振込口座
●けがをした状況
●通院した日(手帳などに通院した日を書き留めておくと便利です)
●同意書(保険会社が病院に照会するため)
などです。
必要書類として病院の領収証のコピーを求められることもあります(領収証は保管しておくと医療費控除を行う際にも役に立ちます)。面倒と思うかどうかは個人差があると思いますが、保険金の請求はそれほど大変ではないと思いますので、ぜひやってみてください。
けがが対象の補償がある、その他の保険
「けがが対象となる保険に加入していることを知らなかった」という場合もあります。
けがの通院が対象になる商品は、傷害保険に限りません。自動車保険や生命保険などにけがが対象となっている補償が「特約」で付帯されている商品があります。
子どもが加入している共済の内容を確認したら、けがによる通院補償も付いていた! という方もいるかもしれません。
あまり知られていませんが、ゴルフをされる方が加入しているゴルファー保険も、ゴルフのプレイ中のけがで通院すると補償されます。
傷害保険の中でも、交通事故だけに対象を絞った交通傷害保険や自転車事故のみの自転車保険もあります。
では、自動車運転中に後続車より追突されて通院した場合はどうでしょう。
この場合、相手に100%の過失があるので治療費・休業損害・慰謝料など、すべての賠償を受けることになりますが、その他に自分の自動車保険から受け取れるものはないでしょうか。
加入している自動車保険に「搭乗者傷害保険」を付けていれば相手の賠償とは関係なく、一時金や日数払いで保険金を受け取れます。
しかも一般的に自動車保険を使うと翌年から等級が下がり(保険料が上がり)ますが、
搭乗者傷害のみの支払いは「ノーカウント事故」といって事故件数に数えませんので、事故無しの場合と同じように翌年等級が上がります(この事故の場合、傷害保険も交通傷害保険も同様です)。
けがをしたら、まずは、請求できる保険があるか調べてみましょう。加入している契約内容は自分で把握できていれば良いのですが、時間がたつと記憶があいまいになるものです。契約している保険会社・共済や代理店に確認すると正確な情報がわかります。
また、個人で加入している保険以外でも補償されることもあります。
●部活動やスポーツ愛好会などの活動団体で加入している保険
●レクリエーション大会などのイベント保険
対象となる活動中にけがをしてしまった場合は、責任者や代表者に確認してみると良いでしょう。
以前にけがで通院したけど請求していないということはありませんか? 保険法では、通院をした日から3年が過ぎると時効になります。けがをした日にもよりますが、今からでも受け付けてくれる場合もあります。
未請求があれば、まずは保険会社や代理店に相談してみましょう。また、この先けがをした場合には、この記事が参考になり請求漏れが減れば幸いです。
いずれにせよ、せっかく受け取れるのに受け取らないのはもったいない!保険金はしっかり請求をしましょう。
執筆者:田中栄二
AFP認定者