更新日: 2021.07.08 その他保険
退職後でも出産育児一時金や埋葬料の給付は受けられる! その条件は?
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
被保険者資格喪失後の出産育児一時金
出産に関する健康保険から受けられるお金は出産手当金だけではなく、出産育児一時金があります。
被保険者が出産すると、42万円(産科医療補償制度の対象とならない場合や在胎週数22週未満の場合は40万4000円)が支給されることになります。
出産育児一時金も被保険者だけに支給されるわけではなく、退職して被保険者資格の喪失後であっても支給される場合があります。
(1)健康保険被保険者資格を喪失した日の前日(退職日)まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者等を除く)であること
(2)被保険者の資格喪失した後6ヶ月以内に出産したこと
いずれも満たせば被保険者同様に受給できます。
家族出産育児一時金か? 自分の出産育児一時金か?
退職して健康保険の被保険者でなくなった後、その被扶養者になっている人もいることでしょう。
もし、夫婦のうちの妻が退職後、夫の扶養に入り、その被扶養者となった妻が出産した場合は、被扶養者としての家族出産育児一時金の対象(給付額は出産育児一時金と同じで、被保険者である夫に支給)になりますが、先述の要件を満たせば、妻自身の資格喪失後の出産育児一時金の対象にもなります。
しかし、その場合、両方の一時金は受給できません。被扶養者としての家族出産育児一時金、被保険者だった人としての出産育児一時金、いずれか選択して受給することになります。
退職後死亡の場合の埋葬料・埋葬費
健康保険制度には、死亡に関する給付として埋葬料・埋葬費があります。健康保険の被保険者が死亡した場合、被保険者によって生計を維持していた人で埋葬を行う人が埋葬料を受けることになり、5万円が支給されることになっています。
また、被保険者に生計を維持していた人がいない場合については、実際に埋葬を行った人に、埋葬に要した費用(5万円が上限)が埋葬費として支給されます。
この埋葬料・埋葬費についても、退職して被保険者でなくなった人の死亡の場合に支給されることがあります。
【図表2】のとおり、
A.傷病手当金や出産手当金の継続給付を受けている人が死亡した場合
B.傷病手当金や出産手当金の継続給付を受けていた人がその給付を受け亡くなった日の後3ヶ月以内に死亡した場合
C.被保険者であった人が被保険者資格を喪失した日の後3ヶ月以内に死亡した場合
いずれかの場合に支給されます。
なお、被扶養者である家族が死亡した場合の家族埋葬料については、資格喪失後の場合に支給されません。
以上のように、健康保険の被保険者資格を喪失した場合でも受けられる給付について全2回で取り上げました。
すでに会社を退職した場合やこれから近いうちに退職予定の場合、対象となりそうな給付がありそうか確認しておきたいところです。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー