更新日: 2021.03.12 損害保険

地震保険の付帯率、市区によって最大82%も差がある?

地震保険の付帯率、市区によって最大82%も差がある?
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生してから10年がたちました。首都直下地震や東南海・南海地震等が今後発生するかもしれない状況では、日頃からできる備えをしておくことが大切です。
 
今できる備えの1つとして地震保険(共済)への加入があります。地震保険の付帯率は東日本大震災があったことでさらに上がっていますが、全国を市区別に見てみると、実はかなり大きな差があります。地震保険の付帯率の現状を確認してみました。
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

地震保険の付帯率が全国で最も高い市区は宮城県東松島市

地震保険に加入している状況を表す指標の1つに付帯率があります。新たに火災保険に加入する契約のうち、地震保険を付帯している割合を表しています。共済でも地震に備える地震共済がありますが、この付帯率は損害保険会社が取り扱っている地震保険のみで、共済は含まれていません。
 
全国の市区別(町村は除く)に直近(2019年度)の付帯率を確認し、特に高い(86.8%以上)市区を表にまとめてみました。
 

 
地震保険の付帯率は全国平均66.7%なので、表に載せている市区は平均を20%以上も上回る非常に高い付帯率の市区ばかりです。その中でも全国一の付帯率は、宮城県東松島市で94.2%にもなります。
 
2番目が石巻市(93.7%)、3番目が塩竈市(92.1%)とトップ3は宮城県勢が占めています。宮城県の市区はほかに5位多賀城市(89.8%)、7位気仙沼市(88.6%)、8位栗原市(88.3%)、9位仙台市若林区と名取市(88.2%)で、上位にたくさん並んでいます。
 
地震に備える意識が非常に高く、それだけ東北地方太平洋沖地震が衝撃的な経験となっているのではないでしょうか。
 
表には24の市区がありますが、宮城県が9市区で最も多く、他は熊本地震を経験した熊本県が4市区、高知県が3市等となっています。人口の多い仙台市や熊本市の区、高知市、宮崎市等の県庁所在地市が多数入っているのが印象的です。ちなみに全国では90市区で付帯率が80%以上となっています。
 

地震保険の付帯率が全国で最も低い市区は北海道名寄市

今度は全国の市区別(町村は除く)に直近(2019年度)の付帯率を確認し、特に低い(44.0%以下)市区を表にまとめてみました。
 

 
地震保険の付帯率は全国平均66.7%なので、表に載せている市区は平均を23.7%以上も下回る非常に低い市区です。
 
全国で最も付帯率が低い市区は、北海道名寄市でわずか12.2%しかありません。2番目が士別市(13.6%)、3番目が紋別市(19.6%)で、低い方のトップ3は北海道勢が占めています。北海道の市区はほかに5位旭川市(22.7%)、6位稚内市(27.4%)、7位芦別市(27.6%)、9位深川市(29.3%)とたくさん並んでいます。
 
北海道でも大きな地震は起きていて、根室市(91.9%)や釧路市(87.9%)のように付帯率がかなり高い市区もありますが、道内でも地域によって防災意識はかなり異なるようです。
 
表には22の市区がありますが、北海道(11市区)と長崎県(7市区)でほぼ独占しています。都道府県別の付帯率では北海道が44位、長崎県が47位となっています。
 

個々の意識だけでは地震保険の付帯率はなかなか上がらない

今できる地震への備えとして、地震保険(共済)に加入しておくことも大切です。もし建物が被災した時には、早期に生活を再建するための大きなサポートになります。
 
ただ、都道府県別や市区町村別の付帯率を見て分かるように、地域によって地震保険に対する考え方には非常に大きな差があります。高知県では最も付帯率が低い市区でも83.5%あります。東京都で最も高い市区町村は稲城市の66.4%、神奈川県は小田原市の68.3%なので、高知県は県全体で付帯率が高いことが分かります。
 
地震保険に加入するかしないかは、一人ひとりの防災意識によるところが大きいですが、その防災意識は自治体等の地道な啓発活動にも大きく影響を受けます。大地震の起きる可能性が高いといわれていない地域では、他に優先することがあるかもしれませんが、大地震がどこでいつ起きるかは誰も分かりません。分からないからこそ、今できる最善の備えをしておきたいものです。
 
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者
 

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