教育費の準備で使う保険は収入保障保険!
配信日: 2021.03.23
しかし本来であれば、高額となる大学進学などの費用に対して少しでも負担を減らし、同時に老後資金も準備していきたいところです。
今回は、教育費の準備で利用する保険は学資保険ではない、ということを前提に考えてみたいと思います。
執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている
教育費の準備は保険ではない
これまでも教育費の準備は学資保険ではなく、資産運用をして効率的に増やしていくことを勧めてきているのですが、多くの方が保険で教育費の準備を考えていると感じています。中でも、保険であれば額面は減ることがないし、万が一のときには保険金として受け取ることができるので、安心と思われている方も多くおられます。
しかし、額面が同じでも貨幣価値を考えると、実質では目減りしている可能性は非常に高くなります。さらに払った保険料の方が多ければ、万が一のことがなければ、貯金の方が良かったということにもなりかねません。
NISAは2024年から制度が変わりますが、今後の物価上昇などを考えた場合はNISAや2023年までで終了してしまうジュニアNISAを活用した教育費の準備が、物価上昇以上の利回りが期待できる運用方法として効率的といえるのではないでしょうか。
ただ万が一のことも考えて
教育費の準備を資産運用で行う場合でも、万が一のことを考えなくてはいけませんね。
例えば、一家の大黒柱であるご主人が亡くなられた場合、収入も減少してしまうでしょう。そのときに奥さまが働かれて、これまでどおりの収入を得られれば良いのですが、状況によっては、それほどの収入を得ることが困難なことも考えられます。
生活費の保障として遺族年金があり、遺族年金だけでは不足する部分を民間の生命保険会社の商品で準備する必要があります。
こうした場合に家族の保障として、収入保障保険という毎月一定額の保険金を満期まで受け取れる商品をよくアドバイスしていますが、この収入保障保険を使いながら、もしものときにも教育費が準備できるようにする方法があるのです。
収入保障保険で準備する保障とは
遺族年金は、自営業の方などが加入している国民年金では遺族基礎年金のみとなりますが、厚生年金に加入されている会社員の方は一定の条件を満たすことで、遺族基礎年金と給与の額によって変動する遺族厚生年金を受け取ることができます。
仮に平均標準報酬月額という現在のボーナスを含めた年収の平均月額が35万円で、配偶者とお子さまが2人おられる方が亡くなられた場合、遺族の方が受け取る遺族年金額は179万2610円で、月額では約14万9000円となります。
例えば、このご家庭のご主人が亡くなられた後の生活費が23万円だったとすると、収入保障保険で月に8万円程度の保障があれば生活ができることになります。
ただ、生活費だけを考えればこの設定額でも大丈夫でしょうが、保険ではなく資産運用で教育費を準備していく場合には、万が一のときには積み立てをすることも困難になるでしょう。そこで積立分の保障をプラスしておくと、万が一のときにも積み立てを続けることが可能となり、学資保険の保障を重視した加入よりもコストを少なくしながら教育費を準備することができると思います。
上記のようなケースで仮に毎月2万円の積み立てをしていた場合、収入保障保険の月額の設定を8万円から10万円にしておくことで、2万円の積立分に対する保険を行ったことになります。
収入保障保険は、箱型といわれる定期保険と異なり、保険金額が減少していくことで保険料も安くなっていますので、加入条件にもよりますが30歳男性が月10万円の収入保障保険に加入した場合、2000円以下で加入できると思います。
資産運用も保険も税金はかかるがNISAを活用すれば非課税に
学資保険は万が一、契約者の方が亡くなった場合でも必要な時期に保険金を受け取ることで教育費に利用できますが、生存されていて支払った保険料よりも多く受け取る場合には一時所得で課税されます。
一時所得は受け取った保険金から払った保険料を差し引き、さらに50万円を引いた額に対して課税されます。保険金額によっては現在の低金利で50万円も増えずに課税されないケースもあるでしょうが、高額な保険金の設定をすると課税の対象となる可能性があります。
資産運用で運用している場合は、現在はNISAやつみたてNISAを活用することも考えられるため、一定額以内の運用は非課税となります。
つみたてNISAでは、年間で40万円までの積立額に対しての運用益は非課税です。先ほどの例(毎月2万円を積み立て)で見れば、年間の積立額が24万円ですので、増えた分は全て非課税で受け取ることが可能となります。
まとめ
資産運用は確実ではありませんが、毎月積み立てを行うことでリスクの軽減を図り、長期的に考えると想定した利回りに近づけることなります。教育費は保険で準備するという概念は実は誤っているもので、しっかりと目的に合った金融商品、リスクヘッジの方法を考える必要があると思います。
今回は、万が一のことがあっても積み立てを続けられるような保険の利用方法を考えました。長期的なお金の準備は、貨幣価値も考えた準備方法を検討していきましょう。
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー