更新日: 2021.04.07 その他保険
転職、失業…会社を辞めた時に必要な社会保険関係の手続きとは?
今回は、会社員が離職する時に必要な社会保険関係の手続きについてお伝えします。
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
失業手当はコロナ禍により内容も変わっている
次の仕事が決まるまでの生活を支えてくれる社会保障制度として、雇用保険の「基本手当」、いわゆる「失業手当」があります。失業手当は、雇用保険の被保険者期間が一定期間以上あれば受給できます。受給できる失業手当の1日当たりの金額を「基本手当日額」といい、原則として離職前6ヶ月間の賃金により計算されます。まずは、失業手当を受け取る手続きをしましょう。
会社都合で解雇された、会社が倒産して仕事を失ったと認められた場合は、7日間の待機期間を過ぎればすぐに失業手当を受給できます。
自己都合での退職では、待機期間に加え3ヶ月の給付制限期間が必要でしたが、2020年10月1日以降は、5年間のうち2回の離職までは給付制限期間が2ヶ月と短くなっています。しかし、コロナ禍の中、さまざまな事情で退職を余儀なくされている方もいらっしゃいますので、自己都合退職にも特例措置が設けられています。
例えば、同居の家族が新型コロナウイルスに感染して看護や介護が必要になった、自分や家族に基礎疾患があるため、職場で感染者が出てやむを得ず退職したという場合です。このような場合は「正当な理由がある自己都合退職」として扱い、給付制限を適用しないということです。他にも特例措置が適用されるケースがありますので、詳しくはハローワークでよく確認しましょう。
健康保険や年金の手続きも必要
日本は国民皆保険制度ですから、失業中も何らかの健康保険に入る必要があります。選択肢の1つとして、要件を満たせば、以前勤めていた勤務先の健康保険制度に「任意加入」という形で2年間に限り継続加入する方法があります。ただし、保険料は従来の2倍程度になります。他に、国民健康保険に加入する方法や、家族の被扶養者になる方法があります。
同時に、年金の手続きも行いましょう。会社員が退職したら、加入していた厚生年金保険の被保険者資格(国民年金の第2号被保険者)を失います。すぐに就職しない場合は、20歳以上60歳未満であれば国民年金保険の第1号被保険者(自営業者や学生等)への切り替えが必要です。期限も退職後14日以内と短くなっていますので早めに手続きを済ませましょう。
ただし、健康保険と同様、配偶者が第2号被保険者(会社員や公務員)であれば、その被扶養者になることができます。
配偶者がもともとパートや主婦(主夫)など、第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者)であった場合には、配偶者も第1号被保険者です。国民年金保険料は月額1万6540円(令和2年度)です。失業と同時に2人分の保険料を支払わなければならなくなるということです。保険料の支払いが厳しい時には、国民年金保険料の納付猶予や免除が認められる場合もありますので、詳しくは年金事務所に問い合わせてみましょう。
また、元の勤務先で企業型確定拠出年金や厚生年金基金に加入していた方は、別途これらの年金資産に関する手続きも必要ですので、退職時に元の勤務先によく確認しておきましょう。
ここまで、会社員が退職した時に社会保険関係で必要な手続きを簡単に説明してきました。他にも、税金関係で必要な手続きもあります。今まで会社でやってくれていたのであまり意識していなかった手続きも、次の仕事が決まるまでは自分で行う必要があります。
退職したら、失業手当があっても社会保険料の負担もあり、生活に影響が出る場合もあります。次の仕事が決まるまで、必要になるお金については十分把握しておくようにしましょう。
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー