更新日: 2021.04.08 その他保険
個人年金保険と貯蓄型保険、老後資金にするならどっち?
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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個人年金保険とは?
個人年金保険とは、保険料を一括もしくは分割で支払うことで、満期時に当初設定した年齢から一定の金額を受け取ることができる保険です。受け取り方法には、一時金で受け取る方法や分割して年金形式で受け取る方法もあります。
■個人年金保険の種類
個人年金保険には以下の3つの種類があります。
1.確定年金:5年や10年など決まった期間だけ年金が受け取れるもので、万一、年金支給期間中に亡くなったとしても、決められた年金は必ず支給され、遺族が受け取ることができます。
2.有期年金:確定年金と同様に5年や10年など決まった期間だけ年金が受け取れるものです。受取期間中に亡くなった場合は、その時点で支給が停止される点が確定年金と異なっています。
3.終身年金:生きている限り、一生涯年金を受け取り続けることができるものです。
■個人年金保険のメリット
個人年金保険のメリットは、「支払った保険料が個人年金保険料控除の対象となること」です。個人年金保険料の対象となるには、以下の要件を満たす必要がありますが、他の生命保険契約や介護医療保険契約とは別に控除を受けることができます。
●年金の受取人は、保険料もしくは掛金の払い込みをする者、またはその配偶者となっている契約であること
●保険料等は、年金の支払いを受けるまでに10年以上の期間にわたって、定期に支払う契約であること
●年金の支払い開始時期が、年金受取人の年齢が原則として満60歳以降となっている支払期間が10年以上の定期、または終身の年金であること
保険料を払い込むことで、老後資金を確実に準備できる点もメリットといえるでしょう。
■個人年金保険のデメリット
個人年金保険のデメリットは、「インフレリスク」です。受け取れる年金額が契約時に決まっていることから、将来受け取る際の物価上昇リスクに対応できません。契約時にはこの金額で十分だと思っていても、受取時に物価が上がっていた場合、公的年金の収入を合わせたとしても不足する可能性があります。
また、早期に解約した場合、解約返戻金が少なく元本割れとなる可能性が高いこともデメリットといえます。
貯蓄型保険とは?
万が一の保障と併せ、保険期間の満了時に満期保険金を受け取ったり、保険を解約したときに解約返戻金を受け取ったりできる保険を貯蓄型保険といいます。
■貯蓄型保険の種類
貯蓄型保険として挙げられるものは、以下のような保険です。
1.終身保険:保障が一生涯続き、亡くなった際に保険金が支払われるものです。また、保険契約期間中に解約すると、解約返戻金を受け取ることができます。解約する時期によっては、払い込んだ保険料よりも解約返戻金のほうが多くなる場合もありますが、払い済み保険料総額を割り込むこともあります。
2.養老保険:保険期間が契約時から15年や20年などと決まっており、保険期間中に亡くなった場合は保険金を受け取ることができるほか、保険期間終了時(満期時)に生存している場合は、満期金として死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることができます。終身保険と同様に途中で解約することも可能です。
ただし、その際に受け取る解約返戻金は、払い込んだ保険料よりも少なくなりますので注意してください。
3.学資保険:子どもの教育資金を準備するために活用される保険です。子どもが15歳、18歳、20歳、22歳など、一定の年齢に達した場合に満期金や祝い金を受け取ることができます。学資保険の契約者および保険料の支払者は親であることがほとんどですが、その親が亡くなった場合に保険金が下りるような特約やその後の保険料の支払いを免除できる特約を付けることもできます。
■貯蓄型保険のメリット
貯蓄型保険のメリットは、保険料が掛け捨てではなく積み立てられていくことです。そのため、途中で解約したとしても、解約返戻金を受け取ることが可能です。そして、一生涯もしくは契約時に決めた期間までの保障が確保されることも、単に貯蓄をすることと比較するとメリットであるといえます。また、貯蓄型保険の場合、個人年金保険料控除とは別に、一般の生命保険料控除を利用できます。
■貯蓄型保険のデメリット
一方で、貯蓄型保険にはデメリットも存在します。まず、掛け捨て型の保険と比べ、保険料が高い傾向にあります。また、保険の種類や解約した時期によっては、払い込んだ保険料よりも解約返戻金が少なくなることがありますので、契約時によく確認しましょう。
新しい形の貯蓄型保険
貯蓄型の保険には、以下のような新しいタイプも販売されています。
■貯蓄型医療保険
一部の生命保険会社で取り入れられている貯蓄型保険です。通常、医療保険は掛け捨てであることが多いのですが、貯蓄型医療保険は、ある一定の年齢に達すると、それまで払い込んだ保険料から実際に利用した(給付された)給付金を差し引いた額が戻ってきます。保険料は掛け捨てのものよりも若干高くはなるものの、支払った保険料の無駄をなくすという意味で注目されている保険です。
■変額保険
変額保険とは、支払う保険料を契約者が選択した株式や債券などの運用商品で運用し、運用の実績によって保険金や解約返戻金が増減する保険のことです。変額保険には「終身型」「有期型」の2種類があります。
有期型の場合、満期をむかえると満期保険金を受け取ることができますが、その金額は資産運用の実績によって変動し、最低保証はありません。したがって、運用実績により基本保険金額を上回る場合もあれば、下回る場合もあることを理解する必要があります。
また、実際の運用は投資信託商品にて行われることから、投資信託の管理・運用に必要な運用関係費などの費用が年率0.2~1.5%程度かかることも覚えておきましょう。
まとめ
個人年金保険と貯蓄型保険、どちらも掛け捨てではなく貯蓄性があることが特徴です。
個人年金保険は、原則として60歳以降の公的年金の受け取り開始時期まで契約を続けることが望ましいといえます。
変額保険や貯蓄型医療保険以外の保険については、予定利率(契約者に約束される運用利回り)を考える必要があります。1980年代には5~6%程度もあった予定利率も、今では0%となっています。例えば、1995年前後であれば、予定利率が3%であったことから、その頃に契約した個人年金保険や終身保険は、支払った保険料よりも多くの保険料を受け取ることができます。
通常の終身保険よりも低解約返戻金型終身保険のほうが、保険料払込期間中の解約返戻金の返戻率を低く抑える代わりに、保険料を抑え貯蓄性を高めているという特徴を鑑みても利用価値はあるといえます。
ただし、現在の予定利率では昔のような貯蓄効果を期待することは難しいことから、老後資金として活用するのであれば、まずは個人年金保険を選択するとよいかもしれません。そして、余裕がある範囲で低解約返戻金型終身保険を選ぶとよいでしょう。
老後資金を準備する方法はさまざまあります。他にも自分に合った貯蓄方法があるかも併せて検討しましょう。
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員