更新日: 2019.01.10 損害保険

賃貸住宅でも火災保険に加入すべき3つの必要性

賃貸住宅でも火災保険に加入すべき3つの必要性
賃貸住宅に住む場合、火災保険に加入する必要って本当にあるの?そんな疑問をもっていませんか?

筆者もその1人でした。ずーっと疑問に思っていました。新たに賃貸契約をすると、まるでセットメニューのように火災保険の契約も(半強制的に?)させられるし、プランの選択肢もないし、内容の説明も皆無だし、よくわからないから突っ込めないし、2年分を一時金で求められるし、2年ごとに更新をせまられるし……。なんで、なんで? と思っていました。

しかも部屋を借りるときは、初期費用や引っ越し費用など、ただでさえ出費がかさむのに、そのうえ火災保険で保険料の支払いが2年分2万円とか、や、やめてー! と、叫びたい気持ちのときもありました。2年ごとの更新時も然り。

まもなく新しい生活をスタートさせる人も多い季節がやってきます。ここでは、賃貸住宅に火災保険は必要なのか? その契約内容のポイント、に関する疑問を解消していきます。
平田純子

Text:平田純子(ひらた じゅんこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター
大阪市立大学・生活科学部・住居学科卒業。電機メーカーで商品企画の仕事を経て、好きが高じて、株式会社良品計画に中途入社。無印良品の店舗にて、家具やカーテン、照明のコーディネート提案を得意とする店長として10年以上勤務。しかしある時、お金に無計画・無頓着に過ごした自身のこれまでの人生を振り返り、後悔の念。豊かな人生を送るために、ライフプランニングの必要性を痛感。その必要性をより多くの人に伝えたいとの思いで、ファイナンシャルプランナーを志す。
現在、ファイナンシャルプランナーとして、ライフプランとキャッシュフロー分析・アドバイスを個別相談で行う傍ら、セミナー講師,や執筆も行う。得意分野はライフプラン(資金計画)、生命保険見直し、資産形成・運用。お金の相談に加えて、インテリア計画や片付け、収納計画についても、ご要望に応じて相談を承っている。
https://hataraku-okane.com/

やっかいな? 失火責任法

過失から火事を起こすことを失火といいますが、失火責任法では、「重大な過失でない失火の場合、賠償責任は負わない」とされています。
 
つまり、自分が出火元の場合、故意や重大な過失でなければ、その火事によって損害を与えてしまった相手に対して損害賠償責任はありません。これはもし、自分の家がなんらかの原因で出火元となった場合、救われますよね。

一方で、逆に自分がもらい火被害にあった場合、その出火元に重大な過失がないと認められると、誰にも損害賠償を請求できません。
 
自分は火元もきっちり管理し、平和な日常を暮らしていたのに、ある日、隣からのもらい火で火事に巻き込まれてしまったら、自分の持ち物は? 家具は? これからの生活は?
 
実はここに「賃貸住宅に住む場合の火災保険」の必要性があるのです。では、賃貸住宅の火災保険として、必要最低限、押さえるべき3つのポイントを見ていきましょう。
 

1.自分の家財を守るため

これは特に、もらい火被害にあった場合の備えです。
 
自分自身の生活を立て直すために、必要な家財(家具や家電など)をそろえなければなりません。それにはいくら必要か? ということです。現在、所有している家財の価格合計でその補償額を決めてもよいですし、現在所有の家財価格とは切り離して、生活再建に最低限必要な補償額で決めてもよいと思います。
 
もちろん保険ですので、その補償額を上げれば上げるほど、払うべき保険料も上がっていきます。起こるかわからないもらい火被害に備えて高い保険料を払うか、最低限な補償額に押さえて、少しでも自由に使える貯金に回すかは、みなさんの価値観しだいです。シングル世帯であれば、100万円もあれば、当面暮らせるのではないでしょうか。
 
だたし、30万円を超える高額な貴金属、美術品を所有している場合は、別途申告が必要となるケースが多いです。
 

2.大家さんを守るため(大家さんに対する責任)

これは、自身が出火元になってしまった場合の備えです。
 
自分の部屋が出火元となり家事を起こしてしまっても、重大な過失が原因でない場合、賠償責任は発生しない、とすでに説明しました。
 
しかし、一方で賃貸契約の中には「原状回復義務」というものがあります。これは、大家さんから部屋を借りる者として、その部屋を出ていくときには、入居したときと同じ状態に戻して、大家さんに部屋を返却しなければならないという内容です。
 
この備えを網羅するのが、借家人賠償責任保険です。極端な話をすれば、家財保険は自分のためなので、備えなくても自分が我慢すればよいですが、この借家人賠償責任保険は、備えていないと『義務の不履行』となってしまいますので、備えは必須と認識しておきましょう。
 
ただし、この保険は単独では契約できず、家財保険等に特約で付加することしかできません。なので、最低限な家財保険の補償額に特約としてトッピングします。必要な補償額は、シングル世帯であれば1000万円程度は備えておいたほうがよいようです。

担当の不動産屋さんに必要な補償額を確認してもみてもいいかもしれないですね。
 

3.隣人を守るため(他人に迷惑をかけた責任)

これは、日常のさまざまなトラブルに対する備えです。
 
賃貸住宅であれば、自身が水漏れ事故をおこして、下の階の住民の家財に損害を与えてしまったときなどです。

そのほか、自転車事故で相手にケガをさせてしまった、不注意で他人の所有物を壊してしまったなど、突発的に起こってしまったトラブルで、賠償責任を求められたときに自身を経済的に守ってくれるものです。個人賠償責任保険といいます。
 
しかしこの個人賠償責任保険は、例えばすでに加入している自動車保険やほかの損害保険で加入している可能性があります。その場合は、二重に備える必要はありません。補償額の目安は、一般的に1億円といわれています。
 
以上、今回は賃貸住宅に住む場合の火災保険の必要性と、その契約内容のポイントについてお伝えしてきました。そして、この火災保険の負担保険料は家財保険の補償額が大きく影響してきますので、家財保険の補償額設定は慎重に行いましょう。
 
また、必ずしも部屋を契約した不動産屋さんが提示したプランで契約する必要はありません。不動産屋さんが提示したプランは割高な可能性もありますので、ぜひ、上記のポイントを参考に自身で最適な保険を見つけて契約し、無駄なコストを省きたいものです。年間保険料は4000円からあるようです。私が2年ごとに払っていた、2万円はなんだったんだろう……。
 
Text:平田 純子(ひらた じゅんこ)
CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集