更新日: 2021.07.01 その他保険

突如襲う予想外の病気やケガ、仕事を休むときに受けられる保障や支援とは?

執筆者 : 三藤桂子

突如襲う予想外の病気やケガ、仕事を休むときに受けられる保障や支援とは?
予想外の病気・けが・事故などは、突如として起こるものです。「仕事を休んだら給料がもらえない」「収入がないと生活できない」と不安になることでしょう。
 
こうした事態にどのような保障や支援を受けられるのでしょうか。働き方や立場でも大きく変わることを解説します。
三藤桂子

執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験した後、FPと社会保険労務士の資格を取得し、個人事業主から社会保険労務士法人エニシアFP を設立。

社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、会社の顧問、個別相談などを行う。

また年金・労務を強みに、セミナー講師、執筆・監修など首都圏を中心に活動中(本名は三角桂子)。

https://sr-enishiafp.com/

会社員、公務員には「傷病手当金」

傷病手当金は、会社員や公務員など勤務先で社会保険(健康保険等)に加入している人(被保険者)が病気やけがで休業した場合に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
 
傷病手当金は、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給されます。
 

(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
(2)仕事に就くことができないこと
(3)連続する3日間(待期)を含み4日以上仕事に就けなかったこと
(4)休業した期間について給与の支払いがないか、一部減額されて支払われていること

 
傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヶ月です。支給される1日あたりの金額は次の計算式でもとめることができます。
 
支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準月額を平均した額÷30日×2/3
 
支給開始日とは、最初に給付が支給される日のことです。もし、標準月額が分からない場合は、毎月の給与を目安にしてみてください。
 
(参考・引用:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(※1))
 

自営業、フリーランスには?

自営業やフリーランスの人など、健康保険等の被用者の医療保険の対象外である人は、地域住民を対象とする国民健康保険に加入します。
 
国民健康保険の保険給付には、法定必須給付、法定任意給付(相対的必要給付)、任意給付の3つに分かれ、傷病手当金は任意給付となっています。任意給付については、市区町村などで、行うことができる給付となっていますが、ほとんどの市区町村で実施していません。
 
任意給付である傷病手当金は、ほとんどの市区町村で実施していないため、治療が長期にわたって働けない期間が続いても、収入の保障がないのが現状です。
 
そのため収入がなくなった場合を想定して、自分で備えておく必要があります。もしくは民間の保険である、就業不能保険や所得補償保険などの加入の検討が必要かもしれません。就業不能保険や所得補償保険は、病気やけがの治療で長期間働けなくなった場合の収入減少に備える保険です。
 

新型コロナウイルス感染症の場合

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、国民健康保険においても、新型コロナウイルス感染症に感染し、または発熱等の症状があり感染が疑われるため会社等を休み、事業主から給与等の支払いが受けられない場合に特例的な措置として傷病手当金を支給しています。
 
傷病手当金は、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給されます。
 

(1)給与の支払いを受けている、国民健康保険の加入者であること
(2)新型コロナウイルス感染症に感染し、または発熱等の症状があり感染が疑われることにより、療養のため労務に服することができなくなったこと
(3)労務に服することができない期間3日間連続して仕事を休み、4日目以降にも休んだ日があること
(4)給与等(休業手当を含む)の支払いを受けられなかったか、一部減額されて支払われていること

 
※適用期間は2020年1月1日から2021年6月30日の間で療養のため就労することができない期間(ただし、入院が継続するときなどは最長1年6月まで)。後の感染状況により期間が延長される場合があります。
 
支給される額は、(直近の継続した3ヶ月間の給与収入の合計額÷就労日数)×3分の2×支給対象となる日数で計算できます(ただし、支給額には上限額があります)。申請には、事業主および医師の証明が必要です。
 
ただし個人事業主やフリーランスの人で、給与等の支払いを受けていない人には支給されません。
 
(参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について」(※2))
 

支援について

公的支援として、生活保護をはじめ、一人ひとりの状況に合わせた包括的な支援として生活困窮者自立支援制度や収入減少等により住居を失うおそれが生じている人などに対して、住居確保給付金など、セーフティーネットとなる生活を支えるための支援があります。支援の詳細などについて厚生労働省のホームページで確認できます。
 
また会社などに勤めている人は、会社独自に休職時の制度を設けて支援をしてくれるところもあります。自分の会社ではどうなっているのか忘れている人は再度、就業規則などを確認してみることをお勧めします。
 

まとめ

会社員や公務員などが病気やけがによって働けなくなった場合、加入する医療保険から傷病手当金が一定期間支給されますが、傷病手当金は収入の全額が補償されるわけではないため、不足する部分については自分で備えておく必要があります。自営業やフリーランスの人は、傷病手当金がないため、収入の全額を自分で備えておく必要があるでしょう。
 
想定外に起きる病気やけがは収入だけでなく、時には高額な医療費もかかるかもしれません。日常生活において、自分は大丈夫と安心している人、毎日忙しく備えを忘れている人など、想定外のことが起きたら自分の生活はどうなるのか、安心のために考えてみることは大切なことです。
 
参考・引用
(※1)全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
(※2)厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について」
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

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