更新日: 2021.08.25 その他保険
傷病手当金の支給期間が改正! 通算して1年6ヶ月分受けられる?
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
傷病手当金はいくら受け取れる?
傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気・けが(私傷病)で療養のため労務不能の場合に支給される給付金です。療養のために働けなかった日の4日目から支給されることになり、1日単位で計算、支給されます。
傷病手当金は、支給開始日以前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額(給与等の報酬の月額)の平均額を30で割り、その3分の2を掛けた額が支給されます。
ひと言でいうと、1日につき給与の3分の2に相当する額が支給されることになります。標準報酬月額(月給)の平均額が24万円であれば、24万円を30で割った8000円の3分の2、5333円が1日あたりの傷病手当金です。
もし、支給開始日以前に直近の継続した被保険者期間が12ヶ月ない場合については、
(1)支給開始月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額
(2)支給開始月の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均額
いずれか少ない額を30で割り、その3分の2を掛けた額で支給されることになります。休んでいる場合に会社から報酬が受けられる場合、傷病手当金は支給されません。
ただし、傷病手当金の額より会社からの報酬が少ない場合は、その差額分の傷病手当金が支給されます。
傷病手当金の支給期間の改正
現行制度上は、同一の病気・けがについて支給を開始した日から最大で1年6ヶ月経過するまで支給されることになっています。
その間に、職場復帰して、支給されない期間があったとしても、最初の支給開始日から1年6ヶ月たてばその後は支給されなくなります(【図表1】)。
しかし、法改正により2022年1月から、同一の病気やけがについて、最初の支給開始日から通算して1年6ヶ月まで支給されます。
支給開始日から1年6ヶ月が経過する前に職場復帰して不支給となった期間がある場合、1年6ヶ月経過後に再び休んでいると1年6ヶ月分を限度に支給されます(【図表2】)。つまり、途中に不支給期間があると、延長して受けられることになります。
共済組合での傷病手当金は、すでに通算1年6ヶ月で支給されていますが、民間企業等を対象とした健康保険も同様のルールに改正されることになります。
がんなどで、休んだ後に職場復帰しても、その後再発して再び休むこともあるかと考えられます。改正後は、再び休んだ場合の保障が厚くなるといえるでしょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー