テレビのCMで耳にする「病気やけがで働けなくなったときの保険」・・どんな保険なの?
配信日: 2018.02.21 更新日: 2019.01.11
近頃テレビのCMで耳にする「病気やけがで働けなくなったときの保険(就業不能保険)」は、まだあまり馴染みのない人も多いはずです。これは、どのような場合に備える保険なのでしょうか。
Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
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医療保険との違いは「加入の目的」
生命保険は加入する目的によって、商品もいろいろあります。
例えば、
(1)本人が亡くなったときに、残された家族の生活を支えるためのもの
→死亡保険・収入保障保険など
(2)本人が病気やケガで入院や手術した場合の治療費などを補うにもの
→医療保険・がん保険
などです。
医療保険は、本人が所定の手術をした場合には手術給付金、入院した場合には入院日数に応じて保険金が支払われます。
日額5000円や1万円といった、給付金の金額や支払限度日数などによって保険料が決められています。この医療保険は治療が長期になり支払限度日数を超えて入院した場合、また退院できても自宅療養を指示された場合は、支払いを受けることができません。
そこで働けない状態が長く続いた場合に、収入の減少をカバーするために作られた保険が就業不能保険です。
医療保険の加入の目的が“治療費などを補うため”であるのに対し、就業不能保険は治療費だけでなく“仕事ができなくなったことによる収入減を補うため”である点を考えると、違いがはっきりします。
例えば在宅治療中でも、治療費はかかります。また食費や光熱費などの生活費、住宅ローンまたは家賃、教育費などの費用は、元気だった頃と同様にかかります。
会社の制度も確認しておくと安心
会社員の場合は、公的な保障として疾病手当金が支給される制度があります。
これは、健康保険に加入している人が業務外の病気やケガで4日以上連続して仕事を休み、給与の支払いがない場合に、4日目から最長で1年6カ月にわたって支給されます。支給される金額ですが、被保険者期間が12カ月以上の場合、標準報酬月額の平均額の3分の2が目安です。
さらに療養期間が長期化した場合、公的な保障として障害年金の受給が考えられます。
これは国民年金や厚生年金の加入者が、法定で定められる障害の状態に該当した場合に受給することができます。障害厚生年金は障害の状態により1~3級があり、支給額は標準報酬月額の平均額をもとに計算されます。
このように公的な保障を受けることができますが、収入の不足分を補うものが就業不能保険なのです。こうしたことから商品の特徴として、保険金の支払額は医療保険が日額なのに対し、こちらは月額で支払われます。保障期間も60歳や65歳満了が一般的です。
“働けなくなって収入が減ったら不安”ということで、加入を検討される場合は、
(1)公的保障以外に勤務している会社独自の保障はないか
(2)住宅ローンを借りている場合、三大疾病保障特約などはついていないか、といったことを再度確認されることをお勧めします。
もしものことが起きたとき、不足する金額を正確に見積もることは大切です。これは就業不能保険だけでなく、ほかの保険に加入するときも共通です。
この機会に、自身の会社の制度についても、調べておくとよいと思います。
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士