更新日: 2022.02.15 その他保険

【令和4年1月施行】任意継続被保険者制度が見直しされるってホント?

執筆者 : 新美昌也

【令和4年1月施行】任意継続被保険者制度が見直しされるってホント?
協会けんぽ、健康保険組合、共済組合などに加入している人が退職した場合、「任意継続被保険者」「国民健康保険の被保険者」「被用者保険の被扶養者」のいずれかを選ぶことになります。
 
このうち、任意継続被保険者制度について、保険料の算定基礎の見直しや、被保険者からの申請による資格喪失を可能とする見直しが行われましたので、そのポイントを解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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退職後の3つの公的医療保険

退職後の公的医療保険の選択肢には、「任意継続被保険者」「国民健康保険の被保険者」「被用者保険の被扶養者」があります。
 
▽任意継続被保険者になる
それまで加入していた健康保険組合などに引き続き加入します。任意継続被保険者になるには(1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること、(2)資格喪失日から(退職後)「20日以内」に申請すること、が必要です。
 
適用期間は、資格喪失日から2年間です。保険料は、退職前は事業主が原則半分負担していましたが、全額被保険者負担です。被扶養者の保険料は退職前と同様、不要です。
 
▽被用者保険の被扶養者になる(75歳まで)
配偶者や子どもが加入する健康保険組合などの医療保険の被扶養者です。なお、被扶養者になるには、年間の収入が130万円未満(60歳以上や障がい者は180万円未満)で、被保険者の収入の原則2分の1未満などの条件があります。
 
手続きは被扶養者に該当してから5日以内に行います。保険料は不要です。
 
▽国民健康保険の被保険者になる(75歳まで)
任意継続被保険者や被用者保険の被扶養者にならない場合、国民健康保険の被保険者になります(国民皆保険)。手続きは、退職後14日以内に市区町村の窓口で行います。保険料は前年の世帯年収、世帯人数などに応じて計算されます。
 
上記の他に、特定健康保険組合に20年以上加入していた人は、「特例退職被保険者」として引き続きその組合に加入できる場合もあります。
 

任意継続被保険者のメリット・デメリット

任意継続被保険者の保険料は全額負担ですが、(1) 資格喪失時の標準報酬月額または、(2) 当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のいずれか少ない額に保険料率を掛けた金額となります。
 
したがって、高所得の方は国民健康保険の被保険者になるよりも保険料を低く抑えられる場合があります。デメリットのひとつに、任意継続は2年間継続し、途中で、国民健康保険に切り替えたい、家族の健康保険の扶養に入るといった理由で辞めることができない、というものがあります。
 

任意継続被保険者制度の見直し

法改正により、まず、資格喪失の事由が見直されました。
 
任意継続被保険者が、任意継続被保険者でなくなることを「希望」した場合にも、被保険者の資格を喪失できるようになりました。資格喪失の申し出の取り消しは原則求められませんので留意しましょう。
 
任意に資格喪失の申し出がなされた場合、その申し出が受理された日(保険者に到達した日)の属する月の翌月1日に任意継続被保険者の資格を喪失することになります。
 
例えば、2月5日に資格喪失の申し出が受理された場合には、3月1日が資格喪失日です。保険料は2月分まで支払うことになります。
 
次に、「健康保険組合」における任意継続被保険者の保険料の算定基礎が見直されました。従来、(1) 資格喪失時の標準報酬月額または、(2) 当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のいずれか少ない額とされています。
 
これに加え、今回の改正では、「資格喪失時の標準報酬月額」または「当該健康保険組合における全被保険者の平均標準報酬月額を超え、資格喪失時の標準報酬月額未満の範囲内において規約で定める額」にすることも可能になりました。
 
ただし、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)などの任意継続被保険者の保険料の算定基礎については従来どおりの取り扱いです。
 
出典
全国健康保険協会 ホームページ
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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