病気やケガで出勤できない…そんなときは「傷病手当金」が受け取れるかも
配信日: 2022.03.19
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
「傷病手当金」とは?
傷病手当金は、病気やけがで働けず給料ももらえないときに、健康保険から支給されるお金です。一定の条件を満たしている人が手続きを済ませることで、給与の3分の2ほどの金額を、最長1年6ヶ月にわたって受け取ることができます。
厚生労働省によれば、治療が長引きやすい精神疾患やがんなどの患者を中心に、2017年度には約190万件に対して約3600億円が支給されています。「働けなくて給料が出ないのに医療費はかかる」といった、経済的に厳しい状況に置かれた人の役に立つ制度です。
(出典:厚生労働省保険局「傷病手当金について(第127回社会保障審議会医療保険部会 資料 1)」(※))
傷病手当金をもらえるのはどんな人? 条件を確認!
傷病手当金をもらえる人の条件について見ていきましょう。傷病手当金を受け取れるのは、以下のような条件をすべて満たしているときです。
・業務に関連しない(労災ではない)病気やけがが原因で働けなくなった
・連続する3日間を含み4日以上会社を休んだ
・休んだ期間中、給与がもらえない状態
ちなみに傷病手当金は、派遣社員やパート・アルバイトなどでも、自分で勤務先の健康保険に加入している人なら対象です。保険証に「協会けんぽ(全国健康保険協会)」「○○健康保険組合」「○○共済組合」といった名称が入っているか確認しましょう。
健康保険にはいくつか種類がありますが、自営業者やフリーランスなど「国民健康保険」に加入している人には、傷病手当金がありません。
ただ、近年は新型コロナに感染した人や感染の疑いがある人を対象に、国民健康保険に加入している人でも特別に傷病手当金を支給している自治体もあります。市区町村役場の窓口や公式サイトなどをチェックしてみましょう。
傷病手当金を受け取るための手続き方法
傷病手当金を受け取るためには、所定の手続きを済ませる必要があります。
まずは「健康保険傷病手当金支給申請書」を用意しましょう。勤務先の担当部署に連絡するか、もしくは加入している健康保険の公式サイトから自分でダウンロードして入手できます。
この書類には、自分(傷病手当金を受け取る本人)が記入する欄、担当医師が記入する欄、勤務先が記入する欄の3カ所があります。まずは自分が記入して、その後病院に持っていって、できた書類を勤務先に渡して記入と申請を済ませてもらうとよいでしょう。
手続きは、長期休業中に何度かに分けて行っても、休業から復帰後にまとめて行っても、どちらでも構いません。ただし、時効があり「2年」たつと受け取る権利が消滅してしまいますので要注意です。
まとめ
傷病手当金は、病気やけがで働けなくなったときでも収入を確保できる支援制度です。会社によっては、傷病手当金だけでなく独自の給付金を上乗せして支給してくれるところもありますので、一度確認しておくと安心です。
こうした知識は、実際に自分が病気やけがに見舞われたときだけでなく、まわりで困っている人がいたときや医療保険などへの加入を検討するときにも役立ちます。「対象になるかわからない」など、困ったときはまず勤務先に相談してみましょう。
(※)厚生労働省保険局「傷病手当金について(第127回社会保障審議会医療保険部会 資料 1)」(令和2年3月26日)
(出典)
全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
全国健康保険協会「健康保険給付について」Q2:健康保険給付の申請に期限はありますか?
全国健康保険協会 ホームページ
川崎市「傷病手当金の支給(新型コロナウイルス感染症関連)」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表