更新日: 2022.03.29 保険

2022年1月から始まった「雇用保険マルチジョブホルダー制度」とは?

執筆者 : 新美昌也

2022年1月から始まった「雇用保険マルチジョブホルダー制度」とは?
2022年1月1日から65歳以上の労働者を対象に、2つの雇用保険の適用事業所での労働時間を合算することで雇用保険に加入できる、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が始まりました。この制度のポイントを解説します。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

これまでの雇用保険制度の問題点

これまでの雇用保険制度は、1つの事業所でしか加入できませんでした。また、1つの事業所だけで、労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みなどの適用要件を満たす必要がありました。
 
このため、複数の事業所で雇用されて働く労働者の労働時間を合算すれば、雇用保険の加入条件を満たしていても、事業所のいずれにおいても1週間の所定労働時間20時間以上でない場合は、雇用保険に加入できないといった問題がありました。
 

雇用保険マルチジョブホルダー制度とは

これに対して、2022年1月1日からスタートした雇用保険マルチジョブホルダー制度では、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者に限って、その複数の事業所のうち、2つの事業所における勤務を合計した際、以下の要件を満たした場合には、本人からハローワークに申し出を行うことで、申し出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができるようになりました。
 

【適用要件】


・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること

・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満であるものに限る)の労働時間を合計して、1週間の所定労働時間が20時間以上であること

・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

 
なお、事業主は、労働者から手続きに必要な証明書類を求められる場合は、速やかに行わなければなりません。また、マルチジョブホルダーの申し出を行ったことを理由として、解雇や雇い止めといった労働者に不利益な取り扱いを行うことは、法律上禁じられています。
 

雇用保険マルチジョブホルダー制度のポイント

本制度は、65歳以上の労働者のみが対象者となっています。労働時間の合算にあたっては、1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間未満の場合は合算できません。
 
3つ以上の事業所で働いている場合は、マルチ高年齢被保険者として申し出をする方が、雇用保険に加入したい事業所を2つ選択します。
 
通常、雇用保険資格の取得・喪失手続きは事業主が行いますが、雇用保険マルチジョブホルダー制度では、マルチ高年齢被保険者としての適用を希望する本人が、手続きを行わなければなりません。
 
本人がハローワークに申し出を行った日から被保険者となるため、申し出をした日より前にさかのぼって被保険者になれません。マルチ高年齢被保険者としての資格を得た日から、雇用保険料を納付する義務が発生することになります。
 
加入後の取り扱いは、通常の雇用保険の被保険者と同様で、任意脱退はできません。雇用保険に加入したあと、別の事業所で雇われた際も、要件を満たすことができなくなった場合を除いて、任意で加入している事業所を切り替えすることはできませんのでご注意ください。
 

マルチ高年齢被保険者の給付

マルチ高年齢被保険者であった方が、失業した場合に一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金を一時金で受給できます。
 
給付額は原則として、離職の日以前の6ヶ月に支払われた賃金の合計を、180で割って算出した金額(賃金日額)の、およそ5~8割となる「基本手当日額」の30日分または50日分です。
 
また、一定の要件を満たせば、介護休業給付、教育訓練給付等の給付を受けることもできます。
 
出典
厚生労働省 【重要】雇用保険マルチジョブホルダー制度について 〜令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します〜
厚生労働省 Q&A 〜雇用保険マルチジョブホルダー制度〜
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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