生命保険料大幅減の人も?11年ぶりに改訂される保険料の基準「標準生命表」とは
配信日: 2018.03.21 更新日: 2019.01.10
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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生命保険料ってどうやって決まるの?
生命保険の保険料(以下、生命保険料)がどうやって決まるのかご存知ですか。まず、ここから確認しておきましょう。
生命保険料は、純保険料と付加保険料を合計した金額です。純保険料は、死亡保険金や満期保険などの支払いに充てるためのものです。
予定死亡率と予定利率を使って計算します。付加保険料は保険会社の経費のためのもので、事業費率を使って計算します。
・予定死亡率とは
予定死亡率は、ある年齢の人が一定期間に死亡する割合のことで、年齢と性別で異なります。
・予定利率とは
予定利率は、保険料のうち、将来の保険金支払いのために積み立てておく部分(責任準備金)に対する予定運用利回りのことです。
・事業費率とは
収入保険料に対する経費の割合です。経費には、保険を販売したり、宣伝するための人件費や広告費、保険料を集金するための経費、保険期間にわたって保険契約を維持管理するための維持費などがあります。
予定死亡率、予定利率、事業費率と保険料の関係
生命保険には収支相当の原則があります。つまり、生命保険の収支においては、集めた保険料(収入)と支払った保険金(支出)が等しくなることが基本です。
・予定死亡率と保険料の関係
この原則があるので、予定死亡率低下は、保険会社の利益を押し上げる方向に動くため、新規契約者の保険料は低下の方向に動きます。
あるいは、配当を増やして既存の契約者に還元する方向に動きます。逆に、予定死亡率が高くなれば、保険料は高くなる傾向になります。
・予定利率と保険料の関係
予定利率が高ければ、運用収益が見込めるので、新規契約者の保険料は安くなる方向に動きます。逆に、予定利率が低くなれば、保険料は高くなる方向に動きます。
・予定事業費率と保険料の関係
予定事業費率が低ければ、保険会社の利益を押し上げる方向に動くため、新規契約者の保険料は低下の方向に動きます。
逆に、予定事業費率が高くなれば、保険料は高くなる傾向になります。一般に、ネット生保のほうが、対面販売よりも保険料が安いのは対面販売に比べ人件費がかからないからです。
生命標準表改訂の影響
公益社団法人日本アクチュアリー会が11年ぶりに保険料算出の基本となる「標準生命表」をこの4月に改訂します。標準生命表は公益社団法人日本アクチュアリー会のホームページで見ることができます。
生保標準生命表(死亡保険用)2018を見ると、2007年に比べ、40歳男性では、死亡率が1000人中1.48人から1.18人に下がっています。20%減です。40歳女性では0.98人から0.88人に下がっていますが10%減にすぎません。
先に説明したように予定死亡率が下がれば、保険料は低下する傾向に動きます。ただし、保険料は予定死亡率だけで決まるわけではないの、保険会社によっては下げないところもあります。
たとえば、日本生命では定期型の死亡保険料を最大24%下げます。しかし、住友生命や明治安田生命はこの4月の値下げは見送っています。
一方、長寿化で保険料が上がると予想されるのが医療保険や個人年金、介護保険などです。ただし、保険料を上げるかどうかは保険会社の政策判断によることも多く、医療保険に関しては保険料を据え置く保険会社が多いようです。
今の保険を解約して入り直すという手も
値下げの対象となるのは新規契約者や契約を更新する人です。最近、死亡保険に加入した人は、今の保険を解約して入り直したほうが、保険料が安くなるかもしれません。
生命保険料の支払いは長期に及ぶため、ちょっとの節約でも長期で見れば大きな節約になります。
なお、今の保険を解約して新しい保険に加入し直す場合、健康状態によっては加入できない可能性があります。したがって、新たな保険に加入できることが確定してから、今の保険を解約するのがポイントになります。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。