手取りってこんなに減るの? 2022年4月の雇用保険料率改定の影響とは?

配信日: 2022.06.08

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手取りってこんなに減るの? 2022年4月の雇用保険料率改定の影響とは?
「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が令和4年3月30日に国会で成立したことにより、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの雇用保険料率が、改定されることになりました。
 
この改定によって、事業主のみならず、労働者の負担も増加することになります。実際にどのくらいの増額となり、給与の手取額への影響はどの程度になるのでしょうか?
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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令和4年4月からの雇用保険料率

令和4年4月からの雇用保険料率(※1)は、令和3年度と比べ0.05%増加しています。具体的な内容については図表1のとおりです。
 
<図表1:令和4年4月からの雇用保険料率の詳細>

(出典:厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内 ※1)
 
また、雇用保険二事業(※2)とは、失業の予防、雇用機会の増大、労働者の能力開発等に資する雇用対策のことをいいます。
 
4月の改定では、実質の負担増は事業主負担のみとなっており、労働者負担分についての変更はありません。
 

令和4年10月からは労働者負担が増加

しかし、令和4年10月1日からは労働者負担分も増加することになっています。詳細については図表2のとおりです。
 
図表2

(出典:厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内 ※1)
 

雇用保険料の計算

雇用保険料は、毎月支給される給与額に該当する保険料率を当てはめて計算します。毎月支給される給与額には、通勤手当などの各種手当のほか、賞与なども含まれます。
 
厚生労働省が発表している「令和2年賃金構造基本統計調査」(※3)の結果によると、2020年の一般労働者の平均賃金は30万7700円となっています。
 
この額を基に、一般の業種における労働者負担分を試算すると、令和4年9月30日まではその0.3%の923円が、10月1日からは0.5%の1538円が負担額です(1円未満切り捨て)。そのため、10月からはそれまでよりも615円の増加となります。
 
また、同省が発表している「令和2年夏期賞与」(※4)の結果によると、賞与を支給した事業所における労働者1人あたりの平均賞与額は38万3431円となっており、それに該当する雇用保険料額は0.3%だと1150円、0.5%になった場合は1917円(1円未満切り捨て)となり、賞与が10月1日以降に支給される場合であれば、それまでよりも767円の増加となることが分かります。
 
10月から12月までの3ヶ月間の増額分(615円×3ヶ月)に加え、賞与分負担増額分(767円)を考えると、約2612円の負担増となり、その分手取り額が減少します。
 

雇用保険料率は業種によって異なる

雇用保険料率は事業の種類によって3つに分けられており、建設の事業に属する人は一般の業種よりも高い保険料率が適用されます。
 
10月から、労働者負担分がこれまでよりも0.2%増額する点は共通していますが、給与収入額が多いほど、額面金額に与える影響は大きくなります。
 

まとめ

雇用保険に加入し、保険料を支払うことで、育児休業や介護休業、さらには高齢年雇用継続給付や教育訓練給付金を受けることができます。
 
さらに令和4年1月、マルチジョブホルダー制度が設けられたことから、その存在意義は大きくなっているといえるでしょう。必要なときに必要な給付を受けることができる雇用保険は非常にありがたいものです。
 
今回の改定によって手取額が少なくなる点は否めませんが、給付を受ける際には、それ以上の恩恵を受けることができるのではないでしょうか。
 
今回の改正により、10月からの手取額が若干減ることを理解しておき、10月に受け取る給与明細にきちんと反映されているかを確認することは大切です。
 
今後、保険料率もさらに高くなることが予想されるため、制度改正の情報にも注意しておきましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
(※2)厚生労働省 雇用保険二事業について
(※3)厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況 結果の概要 1 一般労働者の賃金
(※4)厚生労働省 <特別集計>令和2年夏季賞与(一人平均)
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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